英文の中で、「誰が」動いているのか。いつも、すぐにわかりますか?
前回の2-cの最後に、「持ち主は、いつも見つけやすいとは限りません」と予告しました。今回から、③段に入ります。主役は、これまで動詞を探す手がかりにしてきた「動きの持ち主」。どこにいて、どうすれば見つかるのか。そして、その正式な名前は何か。順番に見ていきます。
動きの持ち主は、いつも見つかる?|日本語の感覚が邪魔をする
トビー今日は、英作文から。「昨日、ラーメンを食べた」。英語にしてみて。



Ate ramen yesterday. です。



では、食べたのは誰でしょう?



え? 書いてないです。日本語にもなかったので。



そこが落とし穴。日本語は、持ち主を言わなくても通じる。



英語は、通じないんですか?



ふつうの英語の文は、持ち主をちゃんと言うね。I ate ramen yesterday.



I が1つ増えただけですよね。



その I こそ、2-cまで動詞を探す手がかりにしてきた、動きの持ち主。



あ。持ち主がいないと、すぐ後ろの動詞も探せません。



そう。だから今回は、持ち主のほうを主役にします。



そういえば、トビーさんの仕事のメール、「例の件、よろしくお願いします」だけでした。



日本のビジネスは、行間を読みますから。それで回るんです。



でも、納期の件でトラブってたじゃないですか!



……リアルお仕事の話は忘れたい問題。
動詞の顔をした偽物と、持ち主のすぐ後ろで本物の動詞を見分ける方法は、前回の2-cで扱っています。まだの方は、先にこちらからどうぞ。
▶︎動詞の顔をした偽物|-ingとto-の正体【グラムとえいご!2-c】
持ち主の見つけ方|左から読んで「誰が?何が?」を探す
「昨日、ラーメンを食べた」。
日本語では、食べたのが誰かを言わなくても、ふつうに通じます。ところが英語では、ふつうの文なら持ち主を言います。
I ate ramen yesterday.
(私は、昨日ラーメンを食べた)
グラムが引っかかったのは、ここです。日本語の感覚のまま英語にすると、持ち主が消えてしまいます。英文を読むときも同じで、「持ち主は言わなくてもわかるはず」と思っていると、見落とします。
持ち主の見つけ方は、次の2段階です。
・① 英文を左から読み、「誰が?」「何が?」にあたることばを探す
・② 見つけたら、そのすぐ後ろに動詞があるかを確かめる
②は、2-aで紹介した見つけ方「動きの持ち主のすぐ後ろ」と同じ向きです。持ち主が見つかれば、動詞も見つかります。
Mika lives in Osaka.
(ミカは、大阪に住んでいる)
左から読むと、最初に「誰が?」にあたるのは Mika。すぐ後ろの lives が動詞です。
Water boils at 100 degrees.
(水は、100度で沸騰する)
「何が?」にあたるのは Water。すぐ後ろの boils が動詞です。持ち主は、人とは限りません。
ただし、文の先頭が、いつも持ち主とは限りません。
Yesterday, I ate ramen.
(昨日、私はラーメンを食べた)
先頭の Yesterday は「昨日」で、「誰が?」の答えにはなりません。1-cで見た、文の先頭に動かせる飾りです。持ち主は、次の I。すぐ後ろの ate が動詞です。探すのは「文の先頭」ではなく、「誰が?何が?」の答えです。


動詞の見つけ方の2つの手順は、2-aで扱っています。
▶︎まずは動いていることばを探せ|動詞ってどれ?【グラムとえいご!2-a】
主語とは?|動きの持ち主の正式な名前と、Sの正体
Mika lives in Osaka. の Mika。
これまで「動きの持ち主」と呼んできたことばに、ここで正式な名前をつけます。
動きの持ち主は、「主語(しゅご)」と呼ばれます。英語では subject(サブジェクト)です。
1-cで、5つの箱に S・V・O・C・M の目印をつけました。持ち主の箱の目印 S は、subject の頭文字だったのです。つまり、Sの箱に入ることばが主語です。
2-aでは、動いていることばに「動詞(verb)」という名前がつきました。目印 V は verb の頭文字でした。これで、S(主語)と V(動詞)の2つに名前がそろったことになります。
ふつうの文では、主語と動詞はこの順で並んで、英文の土台になるペアを作っています。2-aから「持ち主のすぐ後ろ」で動詞を探してこられたのは、そのためです。
名前がついても、見つけ方は変わりません。左から読んで「誰が?何が?」の答えを探し、すぐ後ろの動詞で確かめる。それが主語です。
なお、「動きが向かう先」「=でつながる相棒」「飾り」の正式な名前は、この先の回で1つずつ明かします。


5つの箱と S・V・O・C・M の目印は、1-cで扱っています。
▶︎なぜ英語は「順番」がすべてなのか|英文を作る5つの箱で、迷わず読む【グラムとえいご!1-c】
英語の主語は1語とは限らない|2語・3語でも、まとめて1つの主語
ここまでの主語は、I・Mika・Water と、どれも1語でした。でも、主語はいつも1語とは限りません。
The tall boy lives next door.
(背の高い男の子は、隣に住んでいる)
「誰が?」と問うと、答えは boy だけではありません。「背の高い男の子」です。The tall boy の3語で1人を表しているので、3語をまとめて1つの主語として取ります。すぐ後ろの lives が動詞です。
My old car makes a strange noise.
(私の古い車は、変な音を立てる)
「何が?」の答えは、My old car(私の古い車)。3語で1つの主語です。動詞は、すぐ後ろの makes。
Her little dog barks at night.
(彼女の小さな犬は、夜にほえる)
「何が?」の答えは、Her little dog(彼女の小さな犬)。動詞は barks です。
よくある見落としは、boy・car・dog の1語だけを主語だと思ってしまうことです。tall(背の高い)・old(古い)・little(小さな)は、どんな男の子か、どんな車か、どんな犬かを表す、様子を表すことばです。主語の一部なので、切り離さずにまとめて取ります。先頭の The(その)・My(私の)・Her(彼女の)も同じです。どの男の子か、誰の車か、誰の犬かを表しているので、一緒に取ります。
主語の終わりは、動詞に出会ったところです。左から読み進めて、「誰が?何が?」の答えを、動詞の手前までまとめて取ればよいのです。
主語がさらに長くなる文もあります。それは、飾りを扱う⑥段で見ます。
-ing も主語になる?|「〜すること」が主語になるとき
2-cでは、「〜すること」と訳せる -ing は、動詞ではなく「ものの名前」だと見ました。そして、ものの名前は、文によって入る箱が変わる、とだけ述べました。
今回、その箱の1つに名前がつきました。主語です。
Cooking takes time.
(料理をすることには、時間がかかる)
左から読むと、最初の Cooking は動詞に見えます。でも、「何が?」と問うと、答えは「料理をすること」。Cooking は、ものの名前として、主語になっています。動詞は、すぐ後ろの takes です。
Playing tennis is my hobby.
(テニスをすることは、私の趣味だ)
「何が?」の答えは、Playing tennis(テニスをすること)。2語で1つの主語です。動詞は、すぐ後ろの is。2-bで見た be動詞の「=」の働きです(Playing tennis = my hobby)。
主語になるのは、人や物を表すことばだけではありません。「〜すること」の -ing も、ものの名前として主語になります。文の先頭に -ing を見ても、すぐに動詞と決めず、「何が?」と問いかけてください。


be動詞の「=」の働きと、ものの名前を表すことばは、2-bで扱っています。
▶︎「=」も「いる・ある」も動詞|be動詞も立派な仲間【グラムとえいご!2-b】
まとめ|主語は「誰が?何が?」で見つかる
今回は、動きの持ち主=主語を見ました。ポイントは3つです。
・ふつうの英文では、持ち主(主語)を言う。左から読んで「誰が?何が?」の答えを探し、すぐ後ろの動詞で確かめる
・主語は1語とは限らない。「誰が?何が?」の答えを、動詞の手前までまとめて1つの主語として取る
・「〜すること」の -ing も、ものの名前として主語になる
2-aで見つけた動詞と、今回名前がついた主語。この2つは、英文の土台になるペアです。ふつうの文では、主語が見えれば、そのすぐ後ろに動詞が見えます。
最後にひとつ。今回は、主語が動詞の前にいる文を見てきました。ところが英語には、主語が動詞の後ろに回る文もあります。



では、ミニ練習問題に行ってみましょう。
① 意味を答えてください。
My younger brother collects stamps.
② girl と dog を入れ替えて、意味が変わる文を作ってください。
The girl follows the dog.
③ 意味を答えてください。
Skiing costs a lot of money.
① My younger brother collects stamps.(私の弟は、切手を集めている)
主語:My younger brother(3語で1つの主語)。動詞は、すぐ後ろの collects。
② The dog follows the girl.(その犬は、その女の子のあとをついていく)
主語:The dog。動詞は、すぐ後ろの follows。girl と dog を入れ替えると、主語が The girl から The dog に変わり、ついていく側とついていかれる側が逆になります。主語が変わると、文の意味が変わります。
③ Skiing costs a lot of money.(スキーをすることには、お金がたくさんかかる)
主語:Skiing(「スキーをすること」で、ものの名前の働き)。動詞は、すぐ後ろの costs。
③段からは、5つの箱に1つずつ名前をつけていく旅が続きます。今、どこまで来たのかを地図で見てみましょう。
③からは、5つの箱に1つずつ名前をつけていく旅が続きます。今、どこまで来たのかを地図で見てみましょう。


全18話の地図は、こちらで確かめられます。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】
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