前回は、日本語と同じノリで語順を混ぜると、英語は「文」ですら壊れてしまうことを見ました。ただし、1つだけ、先頭に動かしても平気な言葉がありました。in the park です。
今回は、この「動かしていい場所」の正体と、英文を作っている5つの部品の姿を、まとめて見ていきます。5つの箱には、それぞれS・V・O・C・Mという印がついています。①語順感覚の、しめくくりの回です。
in the park、結局なんで動けたの?|グラムとトビー、3回目のツッコミ
前回トビーとグラムが議論した、The boy kicked the ball in the park.についての話が続いています。
トビー前回、in the park だけ先頭に動けたよね。あれ、結局なんで?



「次回いよいよ明かします」って書きましたよね。



書いたのは……トビーです。



書いた本人が、いちばん忘れてます。



言い得て妙。



前回、前々回の記事でも、英文を作る「5つの箱」って書いてましたけど、その説明も出てきてません。



伏線は寝かしてナンボですから。



じゃあ今日は、寝かせた5つを全部起こします。



グラムのそのドヤ顔、大好きです。で、名前は?



印だけ、先に見せますね。文法の名前は、次の回から1つずつです。
前回の実験は、こちらで詳しく扱っています。まだの方は、先にこちらからどうぞ。
▶︎同じ内容なのに、通じない|英語の語順を”日本語ノリ”で並べ替えると、文が壊れる【グラムとえいご!1-b】
英語は「置き場」で役割を決めている|名札がなくても、立つ場所で伝わる
前回の1-bで、英語には名札の代わりに「置き場」があることを見ました。「が」「を」のような名札がなくても、決まった置き場に立っているだけで、その言葉の役割が伝わる仕組みです。だから置き場を勝手に動かすと、意味が逆転したり、文そのものが壊れたりしました。
ここで1つ、呼び方を変えます。前回は置き場を「する側」「動き」「される側」と呼びました。これからの旅に合わせて、「する側」は動きの持ち主、「される側」は動きが向かう先と呼び直します。「される側」のままだと、あとで出てくる別の話と紛らわしくなるためです。中身は前回と同じです。
では、置き場は全部でいくつあるのでしょうか。
置き場は全部で5つ|英文を作る「5つの箱」
次の文を見てください。
I found the book interesting yesterday.
(私は、その本を、昨日、面白いと感じた)
この文は、次の5つの箱でできています。
I / found / the book / interesting / yesterday
それぞれの箱には、置き場ごとの役割と、目印がついています。
・S|I|動きの持ち主
・V|found|動き
・O|the book|動きが向かう先
・C|interesting|=でつながる相棒
・M|yesterday|飾り
英文は、基本的にこの5種類の箱の組み合わせでできています。長くても複雑でも、結局はどれかの箱に収まる部分の集まりです。
S・V・O・C・Mは、英語の言葉にくっついている名札ではありません。トビーたちが箱を見分けるために、地図に書き込む目印です。何の略なのか、正式な名前は何かは、②から1つずつ明かしていきます。
C の「=でつながる相棒」は、この文だと the book と interesting です。「その本=面白い」と、=でつながっています。
ただし、5つ全部が毎回そろうわけではありません。前回の The boy kicked the ball in the park. は、S・V・O・Mの4つでした。I sang. のように、S と V だけの文もあります。S と V はほぼ必ずいて、残りは動きの種類によって来たり来なかったりする、と覚えてください。


動かせるのは「飾り」だけ|in the park の正体
前回の文を、もう一度見てみます。
The boy kicked the ball in the park.
in the park は、5つの箱のうち M(飾り) の箱です。この M は、先頭に動かしても意味が変わりませんでした。
In the park, the boy kicked the ball.
誰が何をしたか、という中身は同じです。今回の例文でも、同じことが起きます。
I found the book interesting yesterday.
Yesterday, I found the book interesting.
つまり、5つの箱のうち、置き場を動かしてよいのは M だけです。これが、前回予告した「動かしていい場所」の正体です。
では、なぜ M だけが動けるのでしょうか。理由は、M は外しても文が成り立つ箱だからです。試しに外してみます。
The boy kicked the ball.(公園という情報は消えますが、文は完結しています)
I found the book interesting.(昨日という情報は消えますが、文は完結しています)
一方、動きの箱(V)を外すとどうなるでしょうか。
The boy the ball in the park.
「男の子と、ボールと、公園……で、何が?」と、文が成り立ちません。S や V のような骨組みの箱は、外せないから、置き場も動かせないのです。
なお、「動かしていい」のは、いつ・どこでを足す飾りです。飾りにもいくつか種類があり、動かせないものもあります。それは⑥で、くわしく見ていきます。


この地図があれば、戻り読みしなくなる|②からの旅へ
なぜ、こんな地図がわざわざ必要なのでしょうか。
英文が長くなればなるほど、どの言葉がどの箱に入っているのか、パッと見て分かりにくくなります。すると、読み進めながら「あれ、今のは何の話だっけ」と、何度も前に戻って読み直すことになります。
でも、5つの箱の並び方はでたらめではありません。動きの持ち主の次には、たいてい動きが来ます。動きの次には、動きが向かう先や、=でつながる相棒が来ます。箱の並び方があらかじめ決まっているから、今読んでいる箱の次に、どの箱が来るかをある程度先回りして予測しながら読めるのです。
この「次を予測しながら読む」感覚は、英語の速読にも直結しています。詳しくはこちらでも扱っています。
▶︎英語は速読できるのか?|英検1級ホルダーが教える”予測読み”と快読のコツ
もし、5つの箱の場所を見分けられるようになれば、話は変わります。次に来る箱を予測しながら読めるので、長い文でも迷ったときに戻る必要がなくなり、前から読んだ順番のまま、意味を積み上げていけます。
この「前から読んで、戻らない」読み方は、実は精読の土台そのものでもあります。
▶︎単語は「英語のまま」理解せよ|戻り読みが消え、速読につながる仕組み
つまり、この5つの箱の地図は、単なる知識ではなく、戻り読みをしないで英文を読むための道具そのものです。
そしてここから、②〜⑥の旅が始まります。次回からは、この5つの箱を1つずつ、順番に見つけていきます。まずは、いちばん見つけやすい箱からです。
次回は、「動き」の箱——動詞を探すゲームから始めます。


まとめ|ミニ練習問題
それでは、今回の章をまとめてみましょう。
・英語は、名札の代わりに「どこに置くか」で言葉の役割を決めている
・英文は、基本的に5つの箱(動きの持ち主・動き・動きが向かう先・=でつながる相棒・飾り)の組み合わせでできている
・5つのうち「飾り」の箱だけは、位置を動かしても意味が変わらない。これが前回予告した「動かしていい場所」の正体
・この5つの箱の地図があれば、次にどの箱が来るか予測でき、長い英文でも戻り読みせずに読める
・次回②からは、この5つの箱を1つずつ、順番に見つけていく旅が始まる
これで、①語順感覚は完結です。次回からは、いよいよ箱の名前を1つずつ見つけていきます。



では最後に、ミニ練習に行ってみましょう!
①並べ替えて意味を問う問題
次の単語を正しい語順に並べ替え、できた英文の意味を答えよ。
the / made / happy / news / me
②意味が変わるように語順を入れ替える問題
次の英文を、意味が変わるように語順を入れ替えよ。
Gram helps Tobey.
③単語の並べ替え問題
次の単語を並べ替えて、「私は昨日、宿題を終えた」という意味の英文を作れ。
my / finished / I / homework / yesterday
①The news made me happy.(そのニュースは私を幸せにした)
②Tobey helps Gram.(トビーがグラムを助ける)※本来の関係とは逆になる一文
③I finished my homework yesterday.(私は昨日、宿題を終えた)
トビーメソッドの全体像を先に知りたい方は、こちらもどうぞ。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】
Tobey English!





