前回の3-aでは、主語が動詞の前にいる文を見てきました。そして最後に、「ところが英語には、主語が動詞の後ろに回る文もあります。」と予告しました。
今回は、その文を見ていきます。安心してください。3-aで身につけた「誰が?何が?」の問いかけは、そのまま使えます。変わるのは、答えが見つかる場所だけです。③主語感覚の、しめくくりの回です。
There is a dog. の主語はどれ?|先頭の There にご用心
グラムトビーさん、前回の最後の予告、覚えてますか?



「主語が動詞の後ろに回る文もある」。もちろん。



じゃあ、この文の主語はどれでしょう。There is a dog in my house.



簡単だね。左から読んで、先頭の There。すぐ後ろに 動詞のis。記事3-aのとおり、主語は There!



……左から読むところまでは、合ってます。



「まで」?



「何が?」と聞いてみてください。家に、何がいるんですか?



……There さん?



There さんなんて、いません。テキトーいっているとグラビームでお仕置きですよ。



ノー・ビーム、プリーズ。おっと、いるのはa dog だね。犬が後ろに回っていた。



……もう、トビーさんだってちゃんとした英検1級ホルダーなんですから。



届きそうですな。日本英語検定協会から、1級の剥奪通知書が。
前回の3-aでは、主語の見つけ方を「左から読んで『誰が?何が?』の答えを探し、すぐ後ろの動詞で確かめる」と整理しました。まだの方は、先にこちらからどうぞ。
▶︎動詞の持ち主はだれ?|主語ってどれ?【グラムとえいご!3-a】
主語が動詞の後ろに回る文|There は合図、「何が?」の答えは is の後ろ
3-aで見た主語の見つけ方は、次の2ステップでした。
① 左から読んで、「誰が?何が?」の答えを探す
② 見つけたら、すぐ後ろの動詞で確かめる
この手順で、次の文を読んでみます。
There is a cat on the roof.
(屋根の上に、猫がいる)
左から読むと、最初に出会うのは There です。トビーは、ここで There を主語と答えてしまいました。でも、There は「誰が?何が?」の答えになりません。この点は、3-aで見た Yesterday, I ate ramen. の Yesterday, と同じです。
次に出会うのは is。動詞です。ここまで読んでも、まだ主語は見つかっていません。
このように、主語が見つからないまま動詞に出会ったら、動詞の後ろを読んでみてください。is の後ろにあるのは、a cat。「何がいるの?」の答えです。主語は a cat、動詞は is です。
There are some books on the shelf.
(棚の上に、本が何冊かある)
主語は some books、動詞は are です。on the roof・on the shelf は、2-bで見た「場所を表すことば」です。
訳すときは「〜がいる・ある」とします。There を「そこに」と訳す必要はありません。There は、「この後ろに、いる・あるものが出てきますよ」と知らせる合図のことばです。
探す問い(誰が?何が?)は、3-aと変わりません。変わるのは、答えが見つかる場所です。ふつうの文では動詞の前。この形の文では、動詞の後ろです。


there構文とは?|is と are を決めるのは、後ろの主語
There is/There are で始まり、「〜がいる・ある」を表す文を、学校では「there構文」と呼びます。
この形の文で、後ろのことばが本当に主語なのか。確かめる方法があります。be動詞の形です。
2-bで見たとおり、be動詞は持ち主ごとに形が分かれます。1人・1つなら is、2人以上・2つ以上なら are です。
There is a cat on the roof.
(屋根の上に、猫が1匹いる)
There are three cats on the roof.
(屋根の上に、猫が3匹いる)
is と are を決めているのは、前の There ではありません。後ろの a cat と three cats です。過去の形でも同じです。
There was a big tree near the school.
(学校の近くに、大きな木があった)
There were many people at the station.
(駅に、たくさんの人がいた)
動詞の形が、後ろのことばに合わせて変わる。これが、後ろのことばが主語である証拠です。主語と動詞は、並び順が変わっても、ペアのままです。
文の先頭に There is/There are の合図を見つけたら、「主語は、この後ろに来る」と構えて読み進めてください。


be動詞の形の分かれ方(am・is・are・was・were)は、2-bで扱っています。
▶︎「=」も「いる・ある」も動詞|be動詞も立派な仲間【グラムとえいご!2-b】
there構文はなぜ使う?|初めて話に出すものは、後ろで知らせる
次の2文を比べてみます。
The umbrella is by the door.
(その傘は、ドアのそばにある)
There is an umbrella by the door.
(ドアのそばに、傘がある)
1文目の The umbrella は、話し手も聞き手も「どの傘か」を知っている傘です。2文目の an umbrella は、この話で初めて出てくる傘です。
英語では、初めて話に出すものを、いきなり文の先頭に置かず、There is で「ありますよ」と先に知らせてから、後ろで出すことがよくあります。聞き手は「何があるんだろう」と構えて、新しい情報を受け取れます。There は、そのための合図です。
日本語にも、よく似た使い分けがあります。
・その傘は、ドアのそばにある(どの傘か、わかっている)
・ドアのそばに、傘がある(初めて話に出る)
「は」と「が」の違いです。日本語は「てにをは」で伝え分け、英語は語順で伝え分けます。主語を前に置くか、後ろに回すか。その違いにも、ちゃんと意味があるのです。


日本語の「てにをは」と英語の語順のちがいは、1-aで扱っています。
▶︎てにをはマジック|英語は”語順”が命、日本語とのちがいを知る【グラムとえいご!1-a】
倒置とは?|Here comes the bus. も主語が後ろに回る文
主語が動詞の後ろに回る文は、there構文だけではありません。
Here comes the bus.
(ほら、バスが来た)
左から読むと、Here(ほら、ここに)、comes(来る)。主語が見つからないまま、動詞に出会いました。後ろを読むと、the bus。「何が来るの?」の答えです。主語は the bus、動詞は comes です。
There goes my train.
(あーあ、電車が行っちゃった)
主語は my train、動詞は goes です。この There も、「誰が?何が?」の答えにはなりません。
このように、ふつうの語順(主語→動詞)が入れ替わる形を、学校では「倒置」と呼びます。倒置にはほかにもいくつかの形がありますが、主語の見つけ方の基本は同じです。
① 左から読んで、「誰が?何が?」の答えを探す
② 動詞の前に見つかったら、すぐ後ろの動詞で確かめる(3-aの手順)
③ 動詞の前に見つからなければ、動詞の後ろを読む(3-bで足した手順)
語順が入れ替わっても、主語と動詞の箱そのものは変わりません。変わるのは、並び順だけです。
まとめ|主語は、後ろにいても「誰が?何が?」で見つかる
最後にまとめておきましょう。
・ふつうの文では、主語は動詞の前。ただし英語には、主語が動詞の後ろに回る文もある
・There is/There are の文(there構文)では、主語は動詞の後ろ。There は主語ではなく、後ろに主語が来ることを知らせる合図
・答えが動詞の前に見つからなければ、動詞の後ろを読む。「誰が?何が?」の問いかけは、そのまま使える
3-aでは、動詞の前にいる主語を見つけました。3-bでは、動詞の後ろに回った主語を見つけました。前にいても後ろにいても、主語は「誰が?何が?」の答えです。これで、③段の旅はひと区切りです。
最後にひとつ。ここまで、主語と動詞という、英文の土台になるペアを見てきました。次回からは、動詞のさらに先に目を向けます。動きは、どこへ向かうのでしょうか。



では、ミニ練習問題に行ってみましょう。
どの問題も、主語と動詞に印をつけてください。主語が動詞の前にいるか、後ろにいるかも確かめてみましょう。
① 意味を答えてください。
There are three apples in the basket.
② 並べ替えて英文を作り、意味を答えてください。
a / There / park / is / near / my house
③ 意味を答えてください。
Here comes our teacher.
① There are three apples in the basket.(かごの中に、りんごが3つある)
主語:three apples(動詞の後ろ)。動詞は are。主語が2つ以上なので、is ではなく are です。
② There is a park near my house.(私の家の近くに、公園がある)
主語:a park(動詞の後ろ)。動詞は is。There で「ありますよ」と知らせてから、後ろで a park を出します。
③ Here comes our teacher.(ほら、先生が来た)
主語:our teacher(動詞の後ろ)。動詞は comes。Here は「誰が?何が?」の答えになりません。
全18話の地図は、こちらで確かめられます。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】
Tobey English!





