日本語の感覚で、英語を理解しようとしていませんか?
実はこれ、トビーが20年ハマり続けた落とし穴の入口です。
日本語と英語では、「文の中で、誰が・何を・どうしたのか」を決めるしくみが根本からちがいます。日本語は「てにをは」で決め、英語は「語順」で決める。 このちがいを知らないまま単語だけ増やしても、英文はなかなか読めるようになりません。
入門編の第1話は、①「語順感覚」から。相棒のグラムと一緒に、日本語と英語のいちばん大きなちがいを見つけにいきましょう。
英語も、単語を並べれば通じる?|グラムとトビー、最初のツッコミ
トビー英語は単語が命。だからゴリゴリ単語を勉強しないと。



えーと、トビーさん。それ、ぜっっっっったい英語読めるようにならないです。



0.02秒で即答ありがとう。



その読み方で通用するなら、トビーさんは20年も迷走してないはずだよね。



……第1話の、しかも冒頭で核心を突かないでほしい問題。



いくら単語だけ覚えても、英語は読めるようにならない。それは、グラムもお父さんからよく言われているよ。



グラミーからね。……はい。この入門編は、トビーが10歳のグラムに切られ続けるシリーズだってこと確定(笑)



じゃあ、確かめてみよう。英語の前に、まず日本語で。



日本語? そこはネイティブだから任せてほしい。



「犬が 猫を 追いかけた」。これ、順番を入れ替えても意味、通じる?



「猫を 犬が 追いかけた」……うん、普通に通じる。



でしょ。じゃあ、同じことを英語でやったらどうなるか。それが今日のテーマ。



英語できるイケおじになるはずが、10歳にレッスン受けてます、はい。
このシリーズの全体像(全18話の地図)をまだ見ていない方は、先にこちらをどうぞ。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】
日本語は語順を入れ替えても通じる|「てにをは」は役割の名札
先ほどの「犬が 猫を 追いかけた」→「猫を 犬が 追いかけた」の入れ替えを、もう少し掘り下げます。
試しに、さらにバラバラな順番にしてみましょう。
追いかけた、犬が 猫を
これも問題なく意味が通じます。語順は3パターンともまったく違うのに、意味はすべて同じ「犬が猫を追いかけた」のままです。
理由は、それぞれの単語に「が」「を」という小さな役割の名札がついているからです。
・「が」がついている → その動作をする側
・「を」がついている → その動作が向かうされる側
この名札さえ見えていれば、単語がどんな順番で並んでいても、読み手は「誰が・何をしたか」を正しく組み立て直せます。日本語は、語順ではなく「てにをは」という名札で意味が決まる言語なのです。


ここで1つ、注意しておきたいポイントがあります。語順は自由でも、名札は動かせません。試しに、名札の方だけ付け替えてみましょう。
猫が 犬を 追いかけた
これは「猫が犬を追いかけた」という、まったく逆の意味になります。語順をどれだけ入れ替えても平気だったのに、名札を付け替えた瞬間、意味はガラッと変わってしまうのです。
つまり日本語の意味を本当に決めているのは、語順ではなく「が」「を」の名札の方だということになります。
では、この理屈は英語にもそのまま当てはまるのでしょうか。次の章で確かめてみましょう。
日本語の名札に頼る読み方のクセは、英語を読むときにも影響します。詳しくはこちらの記事で解説しています。
▶︎英語の戻り読みを減らす方法|英検1級ホルダーが原因を3つに分けて例文解説
英語には「名札」がない|だから語順が命
日本語には「が」「を」という役割の名札がありました。では、英語にはこの名札があるのでしょうか。
先ほどと同じ内容を、英語にしてみましょう。
The dog chased the cat.(犬が猫を追いかけた)
この語順を、日本語のときと同じように入れ替えてみます。
The cat chased the dog.
日本語なら、語順を入れ替えても「意味は変わらない」はずでした。ところが英語では、これはまったく別の意味になってしまいます。「猫が犬を追いかけた」——追いかける側と追いかけられる側が、完全に入れ替わってしまうのです。
理由はシンプルです。英語の単語には、日本語の「が」「を」のような役割の名札がついていません。dogにもcatにも、「する側」「される側」を示す印は、どこにも貼られていないのです。
だから英語は、「どこに置かれているか」=語順そのものが、役割を決めるルールになっています。
・動作を「する側」の言葉は、動詞の前に置く
・動作が「向かう先」の言葉は、動詞の後に置く


このルールが崩れると、意味も崩れます。日本語の感覚のまま英文を読んでしまうと、この「順番が命」というルールを見落として、主語と目的語を取り違えたまま読み進めてしまうことがよくあります。
裏を返せば、この「順番のルール」さえ地図として持っていれば、長い英文でも迷わず読めるようになる、ということでもあります。この入門編は、その地図を①から少しずつ描いていく旅です。
語順のルールの先にあるもの|英文は5つの「箱」でできている
ここまでで、こんなことが見えてきました。
・日本語は、「が」「を」という名札で役割が決まる
・英語は、語順そのもので役割が決まる
この「語順のルール」は、①「語順感覚」のほんの入口にすぎません。実は英語という言語は、もっと大きな1つの原則の上に成り立っています。
その原則とは——英文は、たった5つの「箱」でできている、というものです。


主語、動詞、目的語、補語、修飾語。英文に出てくる要素は、突き詰めればこの5種類の箱に分類できます。それぞれの箱がどこに置かれ、どうつながっているかを見抜くこと——これが、英語を読むということの正体です。
今の段階では、箱の名前も中身も、まだ知らなくて大丈夫です。この入門編では、①から⑧まで、8つの段階を通して、この5つの箱を1つずつ体に入れていきます。
・①語順感覚(今ここ)→ ②動詞感覚 → ③主語感覚 → ④目的語感覚 → ⑤補語感覚 → ⑥修飾感覚 → ⑦つなぎことば感覚
・そして⑧で、①〜⑦がすべて、この5つの箱を見つけるための旅だったと種明かしします
英語を読むためのルールは、実は驚くほどシンプルです。この入門編は、そのシンプルな地図を、少しずつ描いていく旅になります。
トビーメソッド全体の中で、この「5つの箱」がどう位置づけられているかを詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
▶︎トビーメソッドとは?|SVOCM「箱」原則で読み解く精読メソッド
まとめ|ミニ練習問題(宿題)
では、この回のまとめとなります。
・日本語は「が」「を」という名札で意味が決まるから、語順を入れ替えても通じる
・英語には名札がないから、語順そのものが役割を決めるルールになっている
・英文は、たった5つの箱でできている。①〜⑧で、その正体を1つずつ見つけていく



では、最後に練習問題にチャレンジです!
① Ken helped Mary. の Ken と Mary を入れ替えると、誰が誰を助けたことになる?
② The girl saw the cat. を、意味が変わるように語順を入れ替えてみよう。
③ 並べ替え問題:(the ball / kicked / the boy)を正しい順番に並べて、「男の子がボールを蹴った」という英文を作ろう。
① Mary が Ken を助けたことになる
② The cat saw the girl.(猫が女の子を見た、に意味が変わる)
③ The boy kicked the ball.
次回1-bでは、日本語のノリで英語の語順を自由に混ぜたらどうなるか、実際に試してみます。10歳のグラムに、また何か切られる前にお楽しみに。
これから英語をやり直したい社会人の方は、こちらもあわせてどうぞ。
▶︎英語アレルギーの社会人、まず何から始める?|挫折しない”3つの壁”切り分け
Tobey English!









