「動きは、どこへ向かうのでしょうか。」──前回の3-bの最後に、そう問いかけました。
今回から、④段に入ります。見ていくのは、主語と動詞のペアの先にいる、動詞の相手。1-cから「動きが向かう先」と、感覚ラベルだけで呼んできた箱です。探すときの問いかけは、3-aの「誰が?何が?」と1文字ちがいの、「誰を?何を?」です。
I like coffee. の主語は coffee?|「コーヒーが好き」の落とし穴
グラムトビーさん、前回の最後の問いかけです。動きは、どこへ向かうんですか?



では、この文で考えてみよう。I like coffee.



「私はコーヒーが好き」ですね。



3-aの問いかけで、主語を探すと?



『主語は「誰が?何が?」で見つかるって』言ってましたよね?じゃ、主語は coffee です!



はい、そこが落とし穴。好きなのは、誰?



……「私」です。主語は I でした。



そう。like は「〜を好む」。じゃ、何を好むの?



トビーさんの大好きな、coffee! 動詞likeの向かう先ですね。



Yes。英語ができるイケおじはコーヒー似合う。



この前、飲み過ぎると胃もたれするって言ってましたよね。



たまにははんなりとしたオチが欲しい今日この頃。
主語の見つけ方(「誰が?何が?」)は、3-a・3-bで扱いました。前回の3-bは、こちらです。まだの方は、先にどうぞ。
▶︎主語はいつも前にいる?|there構文と倒置の入り口【グラムとえいご!3-b】
動きが向かう先の見つけ方|動詞の意味で「誰を?何を?」と聞く
グラムが引っかかったのは、日本語の訳でした。「私はコーヒーが好き」の「コーヒーが」は、「何が?」の答えに見えます。でも、好きなのは I です。日本語の「が」は、いつも主語を表すとは限りません。
動きが向かう先は、次の手順で見つけます。
① 3-a・3-bの手順で、主語と動詞を見つける
② 動詞の意味で、「誰を?何を?」と聞く
③ 動詞のすぐ後ろで、その答えを探す
I like coffee. なら、like は「〜を好む」。何を好むの? 答えは coffee です。
Ken opened the window.
(ケンは窓を開けた)
何を開けたの? 答えは the window です。
We visited our grandmother.
(私たちは祖母を訪ねた)
誰を訪ねたの? 答えは our grandmother です。
I met my teacher at the station.
(私は駅で先生に会った)
日本語では「先生に」と「に」がつきますが、会う動きが向かっているのは my teacher です。at the station は、2-aで見た「飾り」です。訳の「が」や「に」ではなく、動詞の動きが誰に・何に向かっているかで考えてください。
ふつうの文では、動きが向かう先は、動詞のすぐ後ろに来ます。左から読んで、主語→動詞→動きが向かう先。ただし、動詞のすぐ後ろにあることばが、いつも動きが向かう先とは限りません。それは、このあとに見てゆきます。


目的語(object)とは?|動きが向かう先の正式な名前と、Oの正体
これまで「動きが向かう先」と呼んできたことばに、正式な名前をつけます。
目的語(もくてきご)。英語では object です。
「目的」の「的(まと)」は、矢が向かう先にある的。動きという矢が向かう的、と覚えると、名前と中身がつながります。
1-cで見た目印の O は、object の頭文字でした。1-cの I found the book interesting. では、the book が O でした。
2-aの「動詞(verb)」、3-aの「主語(subject)」とあわせて、S・V・O の3つに名前がそろいました。ふつうの文では、主語→動詞→目的語の順に並びます。I like coffee. なら、I(主語)→ like(動詞)→ coffee(目的語)です。
名前がついても、見つけ方は変わりません。動詞の意味で「誰を?何を?」と聞き、すぐ後ろで答えを探します。
なお、「=でつながる相棒」「飾り」の正式な名前は、この先の回で1つずつ明かします。


5つの箱と目印(S・V・O・C・M)は、1-cで扱っています。
▶︎なぜ英語は「順番」がすべてなのか|英文を作る5つの箱で、迷わず読む【グラムとえいご!1-c】
自動詞と他動詞の違いは?|目的語がない文と、動詞の後ろの見分け方
動詞の後ろには、いつも目的語があるわけではありません。3つの場合を見ておきます。
目的語をとらない動詞|自動詞と他動詞
The children sang.
(子どもたちが歌った)
The children sang a song.
(子どもたちが歌を歌った)
1文目には、「何を?」の答えがありません。それでも、英文として成り立っています。目的語をとる動詞を、学校では「他動詞」、とらない動詞を「自動詞」と呼びます。ただし、sing のように、文によってどちらの使い方もする動詞はたくさんあります。
be動詞の後ろ|=でつながる相棒
Ken is a pilot.
(ケンはパイロットだ)
「ケンは、誰を?」とは聞けません。Ken=a pilot。2-bで見た「=でつながる相棒」です。目的語ではありません。
there構文の後ろ|主語
There is a cat on the roof. の is の後ろの a cat は、「何が?」の答えでした。3-bで見た、後ろに回った主語です。
We saw a cat on the roof.
(私たちは屋根の上に猫を見た)
こちらは「何を見たの?」の答えが a cat。目的語です。
同じ a cat でも、文によっては入る箱も違います。動詞の後ろにあるから目的語、ではありません。最後は「誰を?何を?」で確かめてください。


be動詞の「=」の働きは、2-bで扱っています。
▶︎「=」も「いる・ある」も動詞|be動詞も立派な仲間【グラムとえいご!2-b】
英語の目的語は1語とは限らない|2語・3語も、「〜すること」も
Mika bought a new bike.
(ミカは新しい自転車を買った)
何を買ったの? 答えは a bike ではなく、a new bike です。3-aの主語と同じで、目的語も、2語・3語をまとめて1つの目的語として取ります。
「〜すること」も、目的語になります。2-cでは、I like swimming. の swimming を、like の「動きが向かう先」と見ました。あれも目的語です。
We finished cleaning the room.
(私たちは部屋を掃除し終えた)
何を終えたの? 答えは cleaning the room(部屋を掃除すること)です。2-cで見た、ものの名前が入る箱の1つに、名前がつきました。目的語です。
「〜すること」の -ing と to+動詞は、2-cで扱っています。
▶︎動詞の顔をした偽物|-ingとto-の正体【グラムとえいご!2-c】
まとめ|目的語は「誰を?何を?」で見つかる
今回は、動きが向かう先を見ました。ポイントは3つです。
・動きが向かう先は、動詞の意味で「誰を?何を?」と聞いたときの答え。正式な名前は「目的語」で、目印は O
・ふつうの文では、目的語は動詞のすぐ後ろ。日本語訳の「が」「に」に引っ張られない
・動詞の後ろのことばが、いつも目的語とは限らない(be動詞の後ろの相棒、there構文の主語)。目的語をとらない動詞もある
主語は「誰が?何が?」、目的語は「誰を?何を?」。これで、5つの箱のうち S・V・O の3つに名前がつきました。
最後にひとつ。今回は、目的語が1つの文を見ました。ところが、動詞によっては、目的語が2つ並ぶ文があります。



では、ミニ練習問題に行ってみましょう。
どの問題も、主語・動詞・目的語に印をつけてください。目的語がない文もあります。
① 意味を答えてください。
My grandfather grows tomatoes.
② 並べ替えて英文を作り、意味を答えてください。
a / letter / wrote / my aunt
③ 2つの文のうち、目的語があるのはどちらですか。どちらも意味を答えてください。
(a) Yuki is a singer.
(b) Yuki met a singer.
① My grandfather grows tomatoes.(祖父はトマトを育てている)
主語:My grandfather。動詞:grows。目的語:tomatoes(動詞のすぐ後ろ)。「何を育てているの?」の答えです。
② My aunt wrote a letter.(おばは手紙を書いた)
主語:My aunt。動詞:wrote。目的語:a letter(動詞のすぐ後ろ)。a letter まで、まとめて1つの目的語です。
③ 目的語があるのは (b)。
(a) Yuki is a singer.(ユキは歌手だ)主語:Yuki。動詞:is。a singer は「=でつながる相棒」で、目的語ではありません。
(b) Yuki met a singer.(ユキは歌手に会った)主語:Yuki。動詞:met。目的語:a singer(動詞のすぐ後ろ)。訳は「歌手に」でも、会う動きが向かう先です。
④段の1本目で、O の箱にも名前がつきました。今、どこまで来たのかを地図で見てみましょう。


全18話の地図は、こちらで確かめられます。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】
Tobey English!






