『動詞の顔をしているのに、動詞ではない。そんな偽物が、英文にはまぎれています。』──前回の最後に、そう予告しました。今回は、その正体を暴いていきます。手がかりは、2-aで身につけた動詞の見つけ方です。偽物はどんな顔をしているのか。動詞でないなら、文の中で何をしているのか。順番に見ていきます。
I want to swim. の動詞はどれ?|動詞の顔をした偽物、登場
グラム前回の最後、「偽物がまぎれています」って言いましたよね。



言いました。探偵ものの予告編みたいに。



じゃあ、犯人は誰なんですか。



まずは、この1文から。I want to swim.



「私は泳ぎたい」。動詞は swim です。泳ぐ、ですから。



見事に、一直線に引っかかってくれた。



えっ、違うんですか?



2-aの見つけ方、覚えてる? 動きの持ち主の、すぐ後ろ。



持ち主は I。すぐ後ろは……want。



そう。動詞は want。swim は、動詞の顔をしているだけ。



でも swim は、泳ぐ動きですよ。



グラムはまだ子供だからわからないんだよ。今日は、偽物の見破り方をやります。



大人のトビーさんもこの前まで引っかかってましたよね。



ぐうの音もでません。
to+動詞は動詞じゃない?Vの箱に入らない理由|決め手は「持ち主のすぐ後ろ」
I want to swim. の動詞は、want です。swim ではありません。
2-aで紹介した、動詞の見つけ方を思い出してください。
・① 日本語訳の最後の「〜する」を手がかりにする
・② 動きの持ち主のすぐ後ろを探す
I want to swim. を訳すと「私は泳ぎたい」です。最後にあるのは「泳ぐ」なので、①だけで探すと swim を選んでしまいます。グラムが引っかかったのは、ここです。
決め手は②です。動きの持ち主は I。そのすぐ後ろにあるのは want です。swim の前には to が付いていて、持ち主のすぐ後ろにはいません。
She needs to rest.
(彼女は、休む必要がある)
持ち主 She のすぐ後ろは needs です。これが動詞です。rest(休む)は、前に to が付いて to rest になっています。
このように、前に to が付いた動詞の形(to+動詞)は、動詞の顔をしていても、Vの箱には入りません。
①の手がかりは、動詞を探す入り口としては今も使えます。ただ、偽物がまぎれているときは、①だけで決めずに、必ず②で確かめてください。
動詞の見つけ方の2つの手順は、2-aで扱っています。
▶︎まずは動いていることばを探せ|動詞ってどれ?【グラムとえいご!2-a】
-ing も動詞じゃない?|見つけ方は変わらない
偽物は、to+動詞だけではありません。動詞に -ing が付いた形も、同じ偽物です。
I enjoy cooking.
(私は、料理することを楽しむ)
持ち主 I のすぐ後ろは enjoy です。これが動詞です。cooking は、cook(料理する)に -ing が付いた形で、持ち主のすぐ後ろにはいません。
見つけ方は、to+動詞のときと同じです。本物と偽物を並べると、次のようになります。
・本物の動詞:持ち主のすぐ後ろにある(want/needs/enjoy)
・偽物①:前に to が付いている(to swim/to rest)
・偽物②:-ing の形をしている(cooking)
動詞らしいことばが2つ並んでいたら、本物は持ち主のすぐ後ろにあるほうです。もう一方の to+動詞や -ing は、動詞の顔をしていても、Vの箱には入りません。
【注意】
She is running.(彼女は、走っている)のように、-ing のすぐ前に is などの be動詞があるときは、今回の偽物とは別の形です。is と running がセットで「〜している」という意味を表し、学校では「進行形」と呼ばれます。この形でも、見つける目印は変わりません。持ち主 She のすぐ後ろの is から読んでください。


to+動詞の「〜するために」は飾り|偽物の正体①
では、偽物の正体は何者なのでしょうか。動詞でないなら、文の中でどんな仕事をしているのか。正体は2つあります。1つ目は「飾り」です。
I study to pass the test.
(私は、試験に受かるために勉強する)
動詞は、持ち主 I のすぐ後ろの study です。to pass the test は、「試験に受かるために」と、勉強する目的を足しています。文の骨組みは I study.(私は勉強する)で、to pass the test がなくても文は成り立ちます。これが「飾り」の働きです。
1-cでは、飾りは文の先頭に動かせると見ました。to pass the test も同じです。
To pass the test, I study.
(試験に受かるために、私は勉強する)
先頭に動かしても、意味は変わりません。
見分けのコツは、日本語訳です。「〜するために」と訳せたら、飾りの働きをしています。
飾りが先頭に動かせることは、1-cで扱っています。
▶︎なぜ英語は「順番」がすべてなのか|英文を作る5つの箱で、迷わず読む【グラムとえいご!1-c】
-ing・to+動詞の「〜すること」はものの名前|偽物の正体②
正体の2つ目は、「ものの名前」です。
I like swimming.
(私は、泳ぐことが好きだ)
swimming は「泳ぐこと」です。動きそのものではなく、「泳ぐこと」という1つのものの名前として使われています。2-bで見た「ものの名前を表すことば」の仲間です。ここでは、like(好きだ)の動きが向かう先になっています。
ものの名前なので、文の先頭に来て、動きの持ち主になることもあります。
Swimming is fun.
(泳ぐことは、楽しい)
文頭の Swimming は動詞に見えますが、ここでは持ち主です。動詞は、そのすぐ後ろの is。2-bで見た be動詞の「=」の働きです(Swimming = fun)。
このように、ものの名前の働きをするときは、文によって入る箱が変わります。今は、「〜すること」と訳せたら、ものの名前の働き、と覚えておけば十分です。
最後に、前出の I want to swim. に戻ります。この to swim も、実はこちらの仲間です。自然な訳は「泳ぎたい」ですが、直訳すると「泳ぐことを望む」。want(望む)の動きが向かう先が、to swim、つまり「泳ぐこと」です。


まとめ|動詞の顔をしていても、動詞とは限らない
今回は、動詞の顔をした偽物を見ました。ポイントは3つです。
・動詞らしいことばが2つ並んでいたら、本物の動詞は持ち主のすぐ後ろにある
・もう一方の to+動詞や -ing は、動詞の顔をした偽物。Vの箱には入らない
・偽物の正体は2つ。「〜するために」なら飾り、「〜すること」ならものの名前
②段の3本で、動詞の仲間の範囲がはっきりしました。仲間は、動きを表す動詞(2-a)と、動きを表さない be動詞(2-b)。そして、動詞の顔をしていても仲間ではないのが、今回の偽物(2-c)です。Vの箱に入る本物の動詞は、持ち主のすぐ後ろで見つかります。
最後にひとつ。ここまで、動詞を見つける手がかりにしてきた「動きの持ち主」。次回からは、この持ち主のほうに目を向けます。持ち主は、いつも見つけやすいとは限りません。



では、ミニ練習問題に行ってみましょう。
① 動詞に印をつけて、意味を答えてください。
My father loves fishing.
② 並べ替えて英文を作り、意味を答えてください。
he / milk / to buy / went out
③ 動詞に印をつけて、意味を答えてください。
Reading is fun.
① My father loves fishing.(私の父は、釣りをすることが大好きだ)
動詞:loves。fishing は「釣りをすること」で、ものの名前の働き(loves の動きが向かう先)。
② He went out to buy milk.(彼は、牛乳を買うために出かけた)
動詞:went(went out で「出かけた」)。to buy milk は「牛乳を買うために」で、飾りの働き。To buy milk, he went out. と先頭に動かすこともできます。
③ Reading is fun.(読むことは、楽しい)
動詞:is。文頭の Reading は「読むこと」で、ものの名前の働き(動きの持ち主)。Reading = fun の関係です。
入門編全18話のなかで、今どのあたりにいるのかは、こちらの地図で確かめられます。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】
Tobey English!





