同じ内容なのに、通じない|英語の語順を”日本語ノリ”で並べ替えると、文が壊れる【グラムとえいご!1-b】

「入門編:グラムとえいご!」のロゴが上部に入った、草原の一本道のイラスト。  ①と書かれたオレンジの看板、遠くに立つ小さな旗、右下に大きなコンパスが描かれている。  グラムとえいご!入門編①のスタート地点を表す。

前回は、英語で2つの言葉を入れ替えるだけで、意味がまるごとひっくり返ることを見ました。

では、日本語と同じノリで、もっと自由に語順を混ぜてみたらどうなるでしょう?

実はこれ、「意味が変わる」くらいでは済みません。英語は、順番を崩した瞬間に「文」ですらなくなります。

それくらい、英語は順番がすべての言語なんです。

グラムとえいご!全18話①〜⑧の旅
今はここ!1-b
①
語順感覚
②
動詞感覚
③
主語感覚
④
目的語感覚
⑤
補語感覚
⑥
修飾感覚
⑦
つなぎ感覚
⑧
種明かし
✦ このブログでわかること
・ 日本語は、かたまりごとなら語順を自由に混ぜても通じる理由
・ 英語は、同じように混ぜると「文」として壊れてしまう理由
・ 壊れた英文を元に戻す、たったひとつの方法
目次

日本語みたいに混ぜても、英語は通じる?|グラムとトビー、2回目のツッコミ

トビー

前回は、犬と猫を入れ替えたら意味が逆転する、って話だったよね。

グラム

はい。The dog chased the cat. と The cat chased the dog. ですね。

トビー

ここで思考実験。日本語なんて「ボールを 男の子が 公園で 蹴った」みたいに、もっと自由に混ぜても通じるよね。

グラム

日本語は、そうですね。

トビー

では、英語もこの語順でいきましょう。The ball the boy kicked in the park.

グラミーロボ

グラビーム!!

トビー

そんなタワけたことを言っていると、地獄の業火でトビーが焼かれるわけですね。これ、ブログ100回記念でグラムと与太話してた時に出たグラミーロボでは?!

グラム

はい。MITと共同開発の。そのプロジェクト、グラムも参加してたんですよ。

トビー

さすがは森の賢者、フクロウ。子供でもIQ高いですね。でもそのロボ、危険ですからしまっておきましょう(笑)

グラム

話を逸らしちゃだめですよ。なぜグラビームのお仕置きが出たのか猛省してください。聞いた人は「公園で男の子が蹴ったボールが……で?」って、続きを待ってますよ。

トビー

……文が、終わってない?

グラム

意味が変わる以前に、文になってないんです。

トビー

じゃあ「蹴った」を先に出す。Kicked the boy the ball in the park.

グラム

247%悪化しました。

トビー

ストレートに刺してきますね。
……じゃあ、これは? In the park, the boy kicked the ball.

グラム

……それは、合ってます。

トビー

え、なんで!? 同じように動かしただけなのに。

グラム

それが今日の話です。英語には、動かしていいものと、動かしちゃいけないものがあるんです。

2要素の入れ替えで意味が逆転する話は、前回の1-aで詳しく扱っています。まだの方は、先にこちらからどうぞ。
▶︎てにをはマジック|英語は”語順”が命、日本語とのちがいを知る【グラムとえいご!1-a】

日本語は、どれだけ混ぜても通じる|名札つきの”かたまり”は自由に動ける

まずは、日本語で同じ実験をしてみましょう。

「公園で男の子がボールを蹴った」という文は、次の4つのかたまりでできています。

公園で / 男の子が / ボールを / 蹴った

このかたまりを、順番を変えて並べてみます。

・公園で 男の子が ボールを 蹴った。
・ボールを 男の子が 公園で 蹴った。
・男の子が 公園で ボールを 蹴った。
・蹴った、公園で ボールを 男の子が。

最後の文は少し芝居がかって聞こえますが、それでも「男の子が、公園で、ボールを蹴った」という内容はちゃんと伝わります。どの並べ方でも、誰が・どこで・何をしたのかは変わりません。

理由は、前回見たとおりです。それぞれのかたまりには「が」「を」「で」という名札(助詞)がついています。名札がかたまりと一緒に移動するので、どこに置いても役割がわかるんです。

ただし、この実験にはひとつルールがあります。動かしていいのは、かたまりごとだけです。

× で公園 男の子が ボールを 蹴った。
× 公園で が男の子 ボールを 蹴った。

名札を言葉から引きはがすと、日本語でもさすがに通じません。日本語が自由に動かせるのは、あくまで名札つきのかたまりです。

次の章では、このルールをそのまま英語に当てはめます。単語をバラバラにするのではなく、かたまりごと動かすだけです。条件をそろえても、英語は日本語のようにはいきません。

日本語の語順実験の図解。「公園で/男の子が/ボールを/蹴った」の4つのかたまりを3通りに並べ替えた例(公園で 男の子が ボールを 蹴った/ボールを 男の子が 公園で 蹴った/蹴った 公園で ボールを 男の子が)を縦に並べ、どれも「意味は同じ」と示している。各かたまりには名札(で・が・を)がついたまま移動し、「ボールを」のかたまりは3行とも色づけされて位置の移動が追える。下部の注意書きは「動かせるのは名札つきのかたまりごと。『で公園』のように名札を引きはがすと、日本語でも通じない」。

英語で同じ実験をすると…|かたまりごと動かしても、文が壊れる

では、同じ実験を英語でやってみます。ルールは日本語のときと同じで、かたまりごと動かすだけです。単語をバラバラにはしません。

「男の子が公園でボールを蹴った」は、英語では次のようになります。

The boy kicked the ball in the park.

これを、4つのかたまりに分けます。

The boy / kicked / the ball / in the park

ここで、日本語とのちがいに気づいたでしょうか。英語のかたまりには、「が」「を」にあたる名札がついていません。the boy を見ても、それが「蹴った側」なのか「蹴られた側」なのかは、言葉そのものからはわからないんです。

この4つを、日本語のときと同じように並べ替えてみます。

並べ方 結果 どうなった?
The boy kicked the ball in the park. ◯ 元の文 男の子が公園でボールを蹴った
The ball the boy kicked in the park. × 壊れる 文が終わらない(「で、そのボールがどうしたの?」)
Kicked the boy the ball in the park. × 壊れる 誰が蹴ったのか組み立てられない
The ball kicked the boy in the park. △ 逆転 ボールが男の子を蹴った(前回の型)
In the park, the boy kicked the ball. ◯ 平気 元の文と同じ意味

日本語では、どう並べても意味は同じでした。英語では、結果が3つに分かれます。

① 壊れる
日本語の順番のまま並べた The ball the boy kicked in the park. は、「男の子が公園で蹴ったボール」で止まってしまいます。「で、そのボールがどうしたの?」と、文として完結しません。

② 意味が逆転する
The ball kicked the boy … は、文としては成立します。でも意味は「ボールが男の子を蹴った」。前回の犬と猫と同じパターンです。

③ なぜか平気
In the park だけは、先頭に動かしても意味が変わりません。この謎は、あとで取り上げます。

前回は「語順を変えると意味が変わる」でした。今回は、その一歩先です。名札のない英語は、語順を崩すと「文」ですらなくなる。

つまり、英語は順番がすべてなんです。

英語の語順実験の図解。「The boy / kicked / the ball / in the park.」の4つのかたまりを4通りに並べた比較。元の文 The boy kicked the ball in the park. は「通じる」、日本語の順番の The ball the boy kicked in the park. は「文にならない」、主役を入れ替えた The ball kicked the boy in the park. は「意味が逆転」、公園を先頭にした In the park, the boy kicked the ball. は「意味は同じ」。英語のかたまりには名札がなく、the ball のかたまりは色づけされて位置の移動が追える。下部の注意書きは「日本語の順番のまま英語を並べると、文にならない。『男の子が公園で蹴ったボール』で止まってしまう」。

日本語の順番に並べ替えて英文を読むクセは、英語が得意になってからも「戻り読み」として残りがちです。その正体は、こちらで詳しく扱っています。
▶︎英語の戻り読みを減らす方法|英検1級ホルダーが原因を3つに分けて例文解説

壊れた文は、置き場に戻せば直る|英語には「決まった置き場」がある

壊れてしまった The ball the boy kicked in the park. を直す方法は、とてもシンプルです。

かたまりを、元の置き場に戻すだけ。

・The ball the boy kicked in the park.(×)
・The boy kicked the ball in the park.(◯)

単語は1つも変えていません。変えたのは置き場所だけです。それだけで、文は元どおり通じるようになります。

英語は、名札の代わりに「どこに置くか」で役割を決めています。先頭にあれば「する側」、そのすぐ後ろが「動き」、さらにその後ろが「される側」。置き場そのものが、日本語の名札の役目をしているんです。

前回、英文は5つの「箱」でできている、という話を少しだけしました。その箱には、それぞれ座る場所が決まっています。今回の文では、そのうち4つが並んでいます。

では、in the park だけが先頭に動けたのはなぜでしょう? これも、置き場のルールで説明がつきます。その正体は、次回いよいよ明かします。

壊れた英文が置き場に戻ると直ることを示す図解。上段は壊れた文「The ball / the boy / kicked / in the park.」で「文にならない」。矢印「置き場に戻す」を経て、下段は直った文「The boy / kicked / the ball / in the park.」で「通じる」。各置き場の下に「する側」「動き」「される側」「どこで」のラベルがつき、the ball のかたまりは色づけされて位置の移動が追える。下部の注意書きは「単語が正しくても、置き場所をまちがえると英語は通じない。変えたのは置き場所だけ。単語は1つも変えていない」。

「置き場」と「箱」の考え方は、トビーメソッドの土台そのものです。全体像はこちらにまとめています。
▶︎トビーメソッドとは?|SVOCM「箱」原則で読み解く精読メソッド

まとめ|ミニ練習問題

それでは、今回の章をまとめてみましょう。

・日本語は、かたまりごとになら語順を自由に混ぜても、名札のおかげで意味が保たれる
・英語は、かたまりごとに動かしても意味が保たれるとは限らない。日本語の順番のまま並べると、文として壊れてしまう
・英語は「どこに置くか」そのもので役割を決めている。だから、置き場に戻せば直る

英語がここまで語順にこだわる理由、少しつかめたでしょうか。

次回1-cでは、この「決まった置き場」の正体に、いよいよ迫っていきます。


グラム

では最後に、ミニ練習問題に行ってみましょう。

①並べ替えて意味を問う問題
次の単語を正しい語順に並べ替え、できた英文の意味を答えよ。
the / girl / read / a / book / in / the / room

答えを見る The girl read a book in the room.(女の子は部屋で本を読んだ)

②意味が変わるように語順を入れ替える問題
次の英文を、意味が変わるように語順を入れ替えよ。
The dog bit the cat.

答えを見る The cat bit the dog.(猫が犬を噛んだ)

③単語の並べ替え問題
次の単語を並べ替えて、「彼女は公園で歌った」という意味の英文を作れ。
in / the / park / she / sang

答えを見る The girl read a book in the room.(女の子は部屋で本を読んだ)

次回1-cでは、「動かしていい場所」の正体——英文を作っている5つの部品の姿に、いよいよ迫ります。10歳のグラムに、また何か切られる前にお楽しみに。

トビーメソッドの全体像を先に知りたい方は、こちらもどうぞ。
▶︎「英語が読めない」の正体、教えます|グラムとえいご!全18話の地図【入門編ガイダンス】

グラミー

Tobey English!


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