英語の「読めない理由」が分かって感動。奥さんに話したら、0.2秒で今晩の夕食ネタにシフトされました。
週末は1日平均10時間は自室に篭りきりになるので、「あれ、お父さんいたの?!」問題がしばしば発生するトビー家。
最近では、それすら言われなくなり、自身のレゾンデートルを疑っています。
——そんな甲斐あってか(謎)、とうとう行き着いてしまいました。
TOEICで精神崩壊し、
英検1級でイバラの道を歩み、
CNNで粉砕骨折してきたトビー。
英語の難しさとは、一体何なのか?
日本全国1000万人以上(トビー調べ。異論は認めません。)を苦しめてきたこの謎を解き明かすべく、英文難易度可視化プロジェクトの始まりです。
これが、トビーがこれまで「英語を読めなかった」理由に直結することに超感動していたら、奥さんにはスルーされたことは、言うまでもありません。
では、ゴタクはこの辺にして、記事に行ってみましょう。
トビーが思う最短の英語勉強法
結論から言います。
英語、意外とやることは少ないです。
「え、20年迷走したお前が言うな」というツッコミは美味しくいただきます。でも、迷走の理由は「やることが多かったから」じゃなくて、「やらなくていいことに寄り道してたから」だったんですよね。
じゃあ、本当にやるべきことは何なのか。トビーの答えはこれです。
基礎文法+英文読解(基本はここだ+ポレポレ)をやったら、あとは精読&多読とその往復。それだけ。
これ、自動車の教習所に例えるとしっくりきます。
| フェーズ | 教習所で言うと | 内容 |
|---|---|---|
| 基礎文法 | 仮免許 | 最低限のルールを頭に入れる段階 |
| 英文読解(基本はここだ+ポレポレ) | 教習所内での練習 | 決まったコースで型を身体に叩き込む段階 |
| 精読&多読 | 実際の路上運転 | 型を使って、実戦の中で磨き続ける段階 |
仮免許(基礎文法)が取れたら、教習所のコース(英文読解)を何周もする。そして最終的には、路上(精読&多読)に出て、あとはひたすら距離を積む。
免許を取った後、教習所にまた戻って練習し直す人はいませんよね。でも英語学習だと、なぜかこれをやりがちです。基礎文法の参考書を何冊も買い替えたり、英文読解の教材を延々とハシゴしたり。
トビーも同じことをやっていました。基礎文法だけで何年も足踏みしていた時期があります。あとで振り返ると、あれは「安全な教習所コース」に留まり続けていただけだったんですよね。
学ぶべきことを学んだら、あとは路上に出て、大量に積み重ねる。これが、20年遠回りしてトビーがようやく辿り着いた「最短ルート」です。
この「仮免許→教習所→路上」という順番、そして路上に出た後も基礎に戻って復習するという往復構造こそが、独学の再現性を支えています。感覚や才能に頼らず、誰でも同じ順番を辿れば同じ場所に行き着ける、という点が重要です。
基礎文法の学習範囲については、こちらで詳しく書いています。
▶︎基礎文法はどこまで?|文法沼にハマってはいけない3つの理由
英語学習は有限だった|基本はここだ+ポレポレで見えた本質
これ、白状します。
「基本はここだ」と「ポレポレ」、この2冊をボロボロになるまで読み込んで、精読を叩き込まれました。で、ようやく気づいたことがあります。
——結局、やってることはこれだけだった問題
英文読解でやっていることを、思い切って3つに切り分けてみます。
| プロセス | やること | 具体例 |
|---|---|---|
| ①要素の確定 | 文をSVOCMに切り分ける | どこまでがS(主語)で、どこからがV(動詞)か |
| ②要素の接続 | 切り分けた要素同士をつなげる | どのMが、どの要素を修飾しているか |
| ③要素の復元 | 読解の技法に沿って本来の形に戻す | 挿入・省略・倒置・同格などを見抜く |
たったこれだけです。
「基本はここだ」も「ポレポレ」も、薄い割には中身難しのですが、中身を煮詰めていくと、結局この3工程の繰り返しなんですよね。
①で要素を確定できないと、②でつなげようがない。②でつなげられないと、③の複雑な技法にはそもそも太刀打ちできない。逆に言えば、この順番さえ守れば、どんな英文も同じ手順で分解できるということです。



正直、最初にこれに気づいた時は「え、それだけ?」って拍子抜けしました(笑)20年もかけて辿り着いた結論が、たった3行で説明できてしまう。もっと早く教えてほしかった……と思う反面、この3行に辿り着くまでの遠回りも、今となっては悪くなかったかなと思ってます。
この3工程をどう身体に染み込ませていくかについては、こちらで詳しく解説しています。
▶︎精読の壁って何?|英語力が頭打ちになる理由と突破法
読解の難しさを可視化する挑戦
さて、ここまでの話。「要素の確定→接続→復元」、この3工程さえ回せば、英文は読める。理屈はわかりました。
でも、ここでふと疑問が湧いてきます。
「じゃあ、なんでそれだけのことが難しいの」
プロセスは誰にでもわかるくらい簡単なのに、なぜゆえ英語の理解はこんなにも難しいのか。
「なんとなく難しい」で終わらせるのは、精読オタとして負けた気がする。というわけで、この体感を数字にできないかと、グラミーと一緒に「英語の難しさを測るモノサシ」作りに挑戦してみました。
難易度は「一言」で表せない|複数の軸を持たせた理由
連日連夜のグラミーとのあーだこーだの議論の中でわかったこと。
難易度は「一言」で表せない
当たり前といえばそうなのですが、言語の難しさって、「戦闘値500」とかそんなに簡単に表されるものではないですよね。
そこで、英文の難しさを5つの軸に分解する「SNDVL」というモノサシを作ってみました。
| 軸 | 何を測るか |
|---|---|
| S|構文複雑度 | 文の要素同士の境目が、どれだけ見えにくいか |
| N|構文操作数 | 読み切るのに必要な処理が、いくつ重なっているか |
| D|保留数 | まだ役割が確定していない要素を、同時にいくつ抱えるか |
| V|語彙難易度 | 使われている単語自体の難しさ |
| L|文長 | 単純な語数・節の数 |
「じゃあ、この5つを全部足せばいいのでは?」と思うかもしれません。
でも、それはやりません。単位も意味も違う5つを無理やり掛け合わせると、「結局どこが難しいのか」という一番知りたい情報が消えてしまうからです。
では、トビーと考えた各軸の説明を見てゆきましょう。
S|構文複雑度|境界がどれだけ見えにくいか
まずはS軸。文の要素同士の「境目」がどれだけ見えにくいか、という軸です。0〜5の6段階で見ていきます。
S=0〜1|境界がそもそも見えている(単純文)
“The committee approved the plan.”
→ S-V-Oのみ。どこからどこまでが一塊か、判断する場面がそもそもありません。
S=2|基本的な修飾・従属節が1つ
“Because the shipment was delayed, the launch date was pushed back.”
→ because節が1つ加わりますが、境界も範囲も一読して明らかです。
S=3|Mの範囲を確定する必要がある
“The report that had been circulating among mid-level managers since spring finally reached the board this week.”
→ 関係代名詞節(M)がどこまで続くか(”since spring”まで節の内側に含めるか)を確定してから、主節に戻る必要があります。
S=4|技法の復元が必要(負荷の種類は単一)
“Rarely had the committee faced such fierce opposition to a single proposal.”
→ 否定副詞”Rarely”による倒置の語順を復元する必要がありますが、負荷の種類はこの1つだけです。
S=5|技法の復元+複数要素の識別が同時発生(分裂文)
“It was not the design itself but the rushed manufacturing schedule that ultimately caused the failure.”
→ 分裂文(It was…that…)の語順の復元と、”not A but B”の対比要素の識別が同時に発生します。S4以下とは質的に負荷の種類が違う、いわば別格です。
この軸で三ジャンルを比べると、はっきり差が出ます。
S≧4(技法の復元が必要な高負荷文)の割合は、
英検1級30.8%
CNN16.9%
TOEIC3.7%
つまり英検1級はTOEICの約8.3倍、「3文に1文」がこのレベルの文で構成されているのに対し、TOEICでは「27文に1文」しか出てきません。
N|構文操作数|処理がいくつ重なっているか(全パターン網羅版)
次にN軸。1文を読み切るのに必要な「処理」が、いくつ組み合わさっているか、という軸です。操作1つから5つ以上まで見ていきます。
N=1|操作1つ
“Having reviewed the data, she rejected the proposal.”
→ 分詞構文の意味上の主語を補う操作が1回。
N=2|操作が2つ重なる
“Once completed, the report that the manager had requested was sent immediately.”
→ ①分詞構文(Once completed)の意味上の主語の補充、②関係代名詞thatの先行詞同定。この2操作が重なります。
N=3|操作が3つ重なる
“The engineer who, against repeated warnings from the safety board, continued the test was later reassigned.”
→ ①関係代名詞whoの先行詞同定、②挿入句(against…board)の括弧化、③主節動詞(was reassigned)への復帰。3操作が積み重なります。
N=4|操作が4つ重なる
“Not until the results, which had been withheld for weeks, were finally released did the team realize the scale of the problem.”
→ ①”Not until…did”の倒置の語順復元、②関係代名詞whichの先行詞同定、③挿入的な関係節(which had…weeks)の範囲確定、④did以下の主節への整合。4操作が重なります。
N=5以上|操作が5つ以上重なる(高負荷帯)
“What the board had assumed to be a minor delay, caused as it was by a supplier issue that no one had flagged in time, turned out to threaten the entire launch schedule.”
→ 疑似分裂文(What…)の境界確定、挿入(caused as it was)の処理、関係代名詞節の先行詞同定、圧縮された譲歩構造の復元、主節への帰着——操作が幾重にも重なります。
SとNは似ているようで別物です。Sが「境界の見えにくさの質」を測るのに対し、Nは「処理の量」を測ります。同じくらいの構文タイプでも、操作の数が増えるほど、読むための体力がどんどん削られていくわけです。
実際、S値とN値はかなり連動しますが(完全一致率:英検1級47.2%・CNN53.0%・TOEIC68.3%)、完全に同じ情報ではありません。「境界は見えにくくないのに、操作だけが多い文」というパターンも一定数存在する、ということです。
D|保留数|同時にいくつ抱えながら読むか
そしてD軸。文頭から読み進める中で、「まだ答えが出ていない要素」を同時にいくつ抱えているか、という軸です。ワーキングメモリの負荷そのものを測ります。
D=0|保留ゼロ(線的に読み切れる)
“The device failed during the final inspection.”
→ 読み進めながら宙づりにする要素がありません。
D=1|1要素を保留したまま進む
“The manager who reviewed the proposal approved it immediately.”
→ “The manager who”の時点で、主語が誰の行為に対応するか未確定なまま、”approved”まで1つだけ保留して読みます。
D=2|中央埋め込みで2要素を同時保持
“The engineer whom the manager who hired her had always trusted resigned without warning.”
→ “The engineer whom”の時点で1つ、”the manager who”の時点でもう1つ。計2つの未確定要素(誰が誰を信頼していたか)を保持したまま、”resigned”にたどり着く必要があります。
D≧3|さらに深い中央埋め込み
“The report that the committee that the board had appointed last year finally submitted revealed a serious flaw.”
→ report→committee→boardと3層の入れ子。どの動詞がどの主語に対応するかを3つ同時に保持したまま読む必要があります。
D≧4|最重量帯(英検1級にしか存在しない)
“The proposal that the committee that the board that the shareholders had elected had appointed reviewed was ultimately rejected.”
→ shareholders→board→committee→proposalと4層の入れ子。4つの未確定要素を同時に保持する必要があり、英語としてもかなり不自然な部類です。
この保留を3つ以上同時に抱える文(D≧3)は、
英検1級15.4%
CNN8.0%
TOEIC0.6%
英検1級はTOEICの約26倍の頻度で、この重い保留を要求してきます。D≧4に至っては英検1級にしか存在せず、全体の2.2%(3,743文中83文)という、かなり稀な最重量帯です。
なお、このD軸は上限を設けていません。SやNと違って「積み重なる負荷」を表現する軸なので、理論上はどこまでも深くできる設計になっています。
V|語彙難易度|使われている単語自体の難しさ
V軸は、パス単の級ランクをベースに算出する語彙難易度です。「該当語の加重平均」と「該当最高語彙級(一番きつい1語の重さ)」の2成分で見ます。
V=易しい(3級〜準2級相当語彙が中心)
“The dog ran across the yard and barked loudly.”
→ 難しい単語が一つもなく、語彙面での負荷はほぼゼロです。
V=中程度(2級〜準1級相当語彙を含む)
“The committee scrutinized the discrepancy before issuing a statement.”
→ “scrutinized”(精査する)・”discrepancy”(食い違い)が準1級〜1級帯の語彙。文全体の難易度を一段引き上げています。
V=難しい(1級相当・低頻度語彙が複数)
“The ostensibly innocuous amendment engendered widespread consternation among stakeholders.”
→ “ostensibly”(表面上は)・”innocuous”(無害な)・”engender”(生じさせる)・”consternation”(狼狽)と、1級相当語彙が密集。加重平均・該当最高語彙級ともに高くなる典型例です。
三ジャンル比較で見ると、準1級+1級相当語彙の比率は
英検1級20.9%
CNN12.2%
TOEIC7.2%。
英検1級はTOEICの約3倍、難関語彙に頻繁に遭遇する設計になっています。
L|文長|語数と節の数
L軸は「総語数」と「定形動詞数(節の数の近似)」の2値です。それ自体が読解プロセスに意味を持つわけではありませんが、他の軸の負荷を裏付ける参考値として機能します。
L=短い(総語数8語・定形動詞1)
“She left the office without a word.”
ほとんど負荷を感じない英文です。
L=中程度(総語数約20語・定形動詞2)
“After the meeting ended, the manager quietly asked her assistant to prepare a revised summary for tomorrow’s briefing.”
このくらいの長さになると、頭の中で構文読解モードに入る必要がでてきますね。
L=長い(総語数約40語・定形動詞3以上)
“Although the initial proposal, which had taken nearly six months to draft, was well received by the regional offices, the board ultimately decided that further revisions were necessary before any budget could be approved.”
→ 英検1級ではL≧40語の文が一定数存在する帯に相当します。
三ジャンルの平均語数は、
英検1級24.9語
CNN22.9語
TOEIC14.6語
そして文長が伸びるほど、S・Dも連動して上がりやすいという相関も確認されています(英検コーパスでcorr(L,S)=0.713、corr(L,D)=0.646)。文長帯が15語未満から41語超に上がると、S平均は1.68→4.14、D平均は0.78→2.75へと単調に上昇します。
さあ、ここまで長々とSNDVLの定義を見てきました。
ところが、これだけでは難易度を完璧に計ることができないのが、言葉のやっかいなところ。
次の章では、いまトビーがぶち当たっている「可視化の難しさ」について見てゆきましょう。
三ジャンルそれぞれの詳しい構文的な特徴については、こちらの記事でさらに掘り下げています。
▶︎CNNはなぜ難しい?|「読めない理由」英検1級ホルダーが徹底検証
可視化の難しさ
ここまで、SNDVLの5軸でTOEIC・CNN・英検1級を数値化してきました。全軸で見ると、英検1級が最も高く、TOEICが最も低く、CNNがその中間。数字だけ見れば、「英検1級 > CNN > TOEIC」という順番になるはずです。
でも、ここで一つ、厄介な現象にぶつかります。
体感としては、CNNの方が英検1級より難しく感じることがあるんです。
「いやいや、数字は英検1級の方が上って言ったじゃん」というツッコミ、ごもっともです。トビー自身、この矛盾に最初は首をかしげました。
種明かしをすると、これは構文の負荷では説明がつきません。原因は「背景知識」の方にありました。
英検1級は、トピックの種類が182種類とかなり幅広く、基本的に「1記事1テーマ」で、文中にある程度の説明が入る設計になっています。一方でCNNは、進行中の少数のニュース(トピック17種程度)に集中する形式で、読者がすでに知っている前提で書かれることが多く、説明が省略されがちです。
つまり、
英検1級は「構文は複雑だけど、知識はその場で補ってくれる」文章。
CNNは「構文はやや軽いけど、前提知識がないと置いていかれる」文章。
この違いが、体感の逆転を生んでいたわけです。
ここから見えてくるのは、英語の難しさは「構文処理コスト」と「背景知識コスト」という、性質の違う2つの軸に分けて考えるべきだ、ということです。SNDVLはこのうち構文処理コストしか測っていません。どんなに精緻なモノサシを作っても、「知らない話題だから読めない」という壁は、また別の話として残り続けます。
可視化して満足していたら、可視化しきれない部分にぶつかった。これが、今回のプロジェクトで一番悔しかったポイントです。
補足すると、これは「客観的な難易度は存在しない」というSNDVL全体の設計思想とも一致しています。一定のモノサシ(構文処理コスト)は作れても、そこに個別の読者の知識量という変数が掛け合わさる以上、最終的な「読みやすさ」は一人ひとり較正されるものだ、ということです。
では、最後にインフォグラフィックにまとめておきます。


背景知識の差、というこの視点は、英検1級の「読めない理由」を考える上でも欠かせない要素です。詳しくはこちらでも触れています。
▶︎英検1級はなぜ難しい?|読めない理由をTOEICと徹底比較
まとめ


今回の記事、
「英語の難しさとは何か?|TOEIC・CNN・英検1級の”読めない理由”を可視化する挑戦」
いかがでしたでしょうか?
トビーも軽い気持ちで執筆始めたら、いつの間にか約10,000文字の重量爆撃機級の記事になっていたと言う、Tobey English!あるある(笑)
「一体どんな英語オタがこの記事読むの?」というツッコミは無視しつつ、とりあえず締めてゆきますよ。
「要素の確定→接続→復元」の3工程を回せば、英文は読める。
理屈はシンプルでした。
でも、なぜそれが難しく感じるのかは、SNDVLという5つの軸に分解して、ようやく言葉にできました。そして分解しきったつもりが、最後には「背景知識」という、また別の壁にもぶつかりました。
構文も、知識も、両方見えてきた今、次にやりたいのはこれです。
中級者(基礎文法終了)以上の方に向けて、この気づきをそのまま「再現性の高い学習法」に落とし込む作業を進めています。
いつ完成するかは謎ですが、グラミーとエッチラオッチラやってゆきますので、乞うご期待〜!
これからのブログの方向性については、こちらでも少し触れています。
▶︎Tobey English!100記事達成記念|グラミーと語るこれからの英語学習
Tobey English!









