TOEICとは馬が合わないトビーのお脳。英検とだったら、いつまでも仲良くやっていけそうです。
どーにもTOEICとは相性が良くないらしい、トビーのおつむさん。
で、1回受験してTOEIC辞めたことは以前の記事に書いた通り。
▶︎トビーがTOEICを1回で辞めた理由|915点で卒業を決めた思考法
最近はCNNの精読にどっぷりハマってます。
通勤に片道約1.5時間かかるのですが、ほぼ全工程歩きスマホで、お目目はCNNの記事に釘付けです(笑)
そんなある日。
部屋の片付けをしていると、ふと英検1級の過去問に目が止まる。
「あーこんなのも勉強したよねー(遠い目)」
って、読み返したのが運の尽き。
いまでは、どっぷり英検1級愛です。
CNNの精読で鍛え直されたせいか、いまだからわかる、英検1級のリーディングの難しさ。
で、思い余って記事にしちゃいました。
「英検1級はなぜ難しい?|『読めない理由』をTOEICと徹底比較」
これから英検1級にチャレンジしたい方。
1文読んだだけで精神崩壊された方。
トビーがみなさんに代わって、個人的主観と客観的データで深ぼってみます!
英検1級リーディングの概要(そもそも、どんな試験?)
まずはサラッと、英検1級リーディングの基本情報から。
「知ってるよー」という方は、読み飛ばしてもらってOKです。
| 大問 | 形式 | 問題数 | 何で解くか |
|---|---|---|---|
| 大問1 | 語句空所補充(単語・熟語) | 22問 | 知っているか、知らないか |
| 大問2 | 長文語句空所補充 | 6問 | 文脈をどれだけ読めているか |
| 大問3 | 長文内容一致選択 | 7問 | 構文・語彙をどこまで正確に処理できているか |
英検1級は、2024年度のリニューアル以降、大問1〜3の3パート構成。
大問1は語句空所補充(単語・熟語の知識で解く語彙問題)、大問2は文脈にあわせて空所を埋める長文語句空所補充、大問3が長文の内容一致選択です。
大問1は「知っているか、知らないか」の勝負。でも大問2・3は違います。答えはすべて本文の中にある。つまり「読めるか、読めないか」がダイレクトに問われるパートです。今回トビーが検証したのは、まさにこの”読めるか”の部分ですね。
レベル感としては、英検協会自身がCEFR C1〜C2(大学上級〜知的職業人レベル)と位置づけている通り、出題ジャンルも社会生活全般から芸術、歴史、科学、医療、テクノロジー、政治まで幅広いアカデミック領域をカバーします。
つまり、TOEICのようにビジネス文書だけを相手にしていれば良い試験ではない。ジャンルも文体も、かなり懐が深いんです。



このジャンルの広さ、後半で効いてきます。語彙のところで詳しく触れますが、ぶっちゃけ「これ、覚えても次には出てこないやつじゃん」ってなる単語、結構あるんですよね(笑)
英検1級そのものの立ち位置や誤解については、こちらでも書いています。
▶︎英検って、実はめちゃくちゃ実戦的|TOEIC915点・英検1級を取って気づいた誤解
TOEICとの違い(そもそも、何を測る試験なの?)
さて、次はTOEICとの比較です。
英検1級もTOEICも、どちらも「英語力を測る試験」であることに変わりはありません。でも、その中身、実はけっこう別物です。
TOEICは、そもそもの成り立ちからしてビジネス色が濃い試験。出てくる英文も、会議、メール、契約、出張、人事異動……といった「オフィスで実際に起こりそうな場面」が中心です。
一方、英検1級は「大学上級〜知的職業人レベル」の運用力を測る試験。社会、科学、歴史、思想、環境、医療、政治といった、アカデミックかつ抽象度の高いトピックが並びます。
つまり、TOEICは「特定のビジネスシーンで求められる語彙・表現をどれだけ押さえているか」を測る試験。英検1級は「どんなジャンルの文章でも、初見の抽象的な内容を正確に処理できるか」を測る試験。設計思想が根本的に違うんです。
この違い、実は次から紹介する解析結果にもそのまま反映されています。
構文の複雑さや語彙の広がりに、はっきりとした差が出てくるんですね。



「TOEIC900超えてるから、英検1級もそこそこ読めるっしょ」って思ってたトビー。見事に返り討ちにあいました(笑)ジャンルが変わると、こんなに景色が変わるものかと。
この2つの試験、そもそもどっちを取るべきか迷う人も多いはず。以前、その辺りを整理した記事も書いています。
▶︎TOEICと英検、取るならどっち?|TOEIC915・英検1級ホルダーが徹底比較
トビーの解析手法:SNDVLってなに?
さて、ここからは種明かしパートです。
「構文が複雑」「語彙が難しい」って、よく聞く言葉ですよね。でも、それって結局どれくらい複雑で、どれくらい難しいのか。感覚的な話で終わらせず、ちゃんと数値で見てみたい。
そこでトビーが今回使ったのが、独自に整理した読解負荷モデル「SNDVL」です。
グラミーと一緒に、AIの力も借りながら英文を1文ずつ、5つの軸でチェックしていきました。
| 軸 | 意味 | ざっくり言うと |
|---|---|---|
| S | 構文複雑度 | 倒置・挿入・省略など、語順のねじれの度合い |
| N | ネスト・操作数 | 修飾や挿入が何重に重なっているか |
| D | 同時保持深度 | 「まだ解決していない要素」を頭に抱えたまま読む深さ |
| V | 語彙難易度 | 文中の単語がどれだけハイレベルか |
| L | 文長・節数 | 1文の長さと、節がいくつ詰め込まれているか |
この中でも特にトビーがこだわっているのがD(同時保持深度)です。関係代名詞が出てきた時点で、その先の先行詞を頭の片隅に置いたまま読み進める。あの”保留感”を数値化した軸ですね。



このD軸、実はあとで出てくる「戻り読み」の話と直結してきます。保留する量が多いほど、読み終わったあとに「あれ、さっきの何だっけ」って前に戻りたくなる。今回の検証で、これが一番腹落ちしたポイントでした。
というわけで、この5つの軸を使って、英検1級とTOEICの英文を並べて機械的にチェックしていきました。
次の章から、いよいよその結果を見ていきましょう。
AIを使った精読の解析については、こちらでも詳しく書いています。
▶︎AIでCNNを精読する方法|TOEIC915点・英検1級ホルダーが教えるClaude活用プロンプト公開
解析結果(客観データ編)
さて、いよいよ本題です。5つの軸で機械的にチェックした結果を、包み隠さずお見せします。
構文の壁:S/N/D軸で見るTOEIC比較
まずは構文まわり、S(構文複雑度)・N(ネスト数)・D(同時保持深度)の3軸から。
| 軸 | 英検1級(平均) | TOEIC(平均) | 乖離 |
|---|---|---|---|
| S(構文複雑度) | 2.89 | 1.48 | 約1.95倍 |
| N(ネスト数) | 2.66 | 1.37 | 約1.94倍 |
| D(同時保持深度) | 1.61 | 0.54 | 約2.98倍 |
で見ると、乖離が一番大きいのはD軸。約3倍です。
さらに「高難度文がどれくらいの頻度で出てくるか」で見ると、もっとくっきりします。
| しきい値 | 英検1級 | TOEIC | 乖離 |
|---|---|---|---|
| S 4以上の文 | 30.7% | 3.6% | 約8.5倍 |
| D 2以上の文 | 50.3% | 9.8% | 約5.1倍 |
面白いのはここです。平均値だけ見るとD軸の乖離が最大ですが、「高難度文の出現率」で見るとS軸(構文複雑度)の乖離が最大の8.5倍になります。つまり、英検1級は”平均して少し難しい”文が並んでいるのではなく、”ものすごく難しい文”が一定の頻度で紛れ込んでくる、という構造なんです。



これ、体感とピッタリ一致してます。英検1級を読んでて詰まる瞬間って、毎文じゃないんですよね。スラスラ読める文の合間に、突然「ん?」ってなる激ムズ文が挟まってくる。あの感覚、データにちゃんと出てました(笑)
もう一つ興味深いのが、節そのものの長さです。
1節あたりの平均語数は、
英検1級:12.20語
TOEIC:10.67語
で、差はわずか1.14倍しかありません。
つまり、英検1級の文が長く感じるのは「1つの節がダラダラ長い」からではなく、「節や修飾要素の”数”そのものが多い」からなんです。
語彙の壁は構文とは別軸
続いて語彙面です。まず驚いたのが、この数字。
| 英検1級 | TOEIC | |
|---|---|---|
| 準1級+1級語彙比率 | 8.7% | 2.7% |
| 文あたり高難度語(平均) | 2.16語 | 0.39語 |
| 高難度語0個の文 | 14.9% | 70.1% |
| 高難度語3語以上の文 | 35.9% | 1.6% |
TOEICは7割の文が「難単語ゼロ」で成立しているのに対し、英検1級は逆に3割超の文で難単語が3個以上重なっている。これはもう別世界です。
ただし、ここで重要なのは、高難度語の数と構文の複雑さ(S・D軸)の相関係数が0.3程度に留まっている点です。中程度の相関はあるものの、「構文は易しいのに語彙だけ重い文」も「語彙は易しいのに構文だけこじれている文」も両方存在する。つまり、構文の壁と語彙の壁は、別々に立ちはだかる壁なんです。



これ、対策の仕方にも直結する話で。「構文を鍛えれば語彙もどうにかなる」わけじゃないし、その逆も然り。両方、別メニューで鍛える必要があるってことですね。
さらに厄介なのが、英検1級語彙の”広がり方”です。異なり語数1,092語のうち、出現1回のみの語が548語(50.2%)。つまり、1級語彙の半分は、記事全体を通して一度しか出てこない。



「頻出1級単語リスト」を完璧に覚えても、半分近くは”リストに載らないレベルの広がり”に対応しなきゃいけない。これ、単語帳だけで殴り倒すのがそもそも無理ゲーだった理由がわかった瞬間でした(笑)
英検1級特有の”つまずきパターン”
最後は、個別の文法項目を超えて繰り返し出てくる「読みにくさの型」の比較です。
| つまずきパターン | 英検1級 | TOEIC |
|---|---|---|
| 文中への挿入 | 22.7% | 2.0% |
| 主語・動詞の共有/並列 | 13.8% | 5.6% |
| 修飾語の何重がけ | 8.5% | 0.0% |
| 相関表現(not only〜but alsoなど) | 4.9% | 0.0% |
| 特につまずきのない、素直な文 | 18.4% | 74.1% |
最頻出は「挿入」。英検1級は「未知の構文」ではなく、「既知の構文が引き延ばされ、間に別要素が挟まる」ことへの耐性が試されている、と言えそうです。
「修飾語の何重がけ」「相関表現」はTOEICでほぼ皆無です。ビジネス文書ではまず出てこない、学術・論説文特有の負荷ですね。逆にTOEICは「素直な文」が74.1%を占めている。両者の性格の違いが、ここに凝縮されています。



まとめるとこうです。TOEICは「型通りの文を素早くこなす」試験。英検1級は「型が崩された文を、戻りながら立て直す」試験。この”戻りながら”の部分、次の章でガッツリ掘り下げます。
構文負荷の正体をさらに掘り下げたい方は、こちらもどうぞ。
▶︎英文をスラスラ読めるってどのレベル?|英検1級・TOEIC900が見た快読ゾーンの正体
トビーのインプレ:あの”迷子感”の正体がわかった
さて、ここからは数字を離れて、トビーの個人的な感想パートです。
正直に言います。英検1級を読んでいて何度も感じていたあの感覚——
「読み終えたはずなのに、結局この文、何が言いたかったんだっけ?」
これ、地味にしんどいんですよね。単語もわかる。文法もわかる。なのに、一度読んだだけではスッと頭に入ってこない。
その正体が、今回の解析でハッキリしました。
| 英検1級 | TOEIC | |
|---|---|---|
| 戻り読み発生率 | 90.3% | 28.1% |
英検1級は、10文中9文で「読み進めた後に、前に戻って構造を組み直す」処理が発生している。
つまり、英検1級の英文は、一読で完結しないことの方が普通。むしろ、一発で読み切れたらラッキー、くらいの感覚で臨むのが正しいということです。
これは決してトビーの読解力不足のサインではありません。90.3%という数字が示す通り、これは英検1級という試験の構造そのものが持つ性質です。



これ知った時、「あ、自分のせいじゃなかったんだ」って、ちょっと救われました(笑)今まで「なんで一発で読めないんだろう」って自分を責めてた部分があったので。
もう一つ、腹落ちしたデータがあります。
文中の要素をS・V・O・C・Mで分類したとき、英検1級は1文平均1.96個のタグ(=変形パターン)がつく一方、TOEICは1.06個。そして「基本文型のまま素直に読める文」は、英検1級がわずか1.8%なのに対し、TOEICは15.3%。



英検1級を読んでいると、S・V・O・Cが素直に並んでいる文なんて、ほぼお目にかからない。ほぼ毎文、どこかしらが本来の位置からずれている。だから「型」を知らないと、いつまで経っても迷子になり続けるんですよね。
正直、CNNを精読するようになってから、英検1級のこの“型崩れ”への耐性がだいぶついたなと感じます。CNNで鍛えられた「挿入句に動じない」「保留しながら読む」感覚が、そのまま英検1級にも効いている実感がありました。
CNNの難しさの正体についても、以前じっくり検証しています。
▶︎CNNはなぜ難しい?|「読めない理由」英検1級ホルダーが徹底検証
英検1級を克服するには
ここまでの解析結果を踏まえると、英検1級攻略のポイントは自然と見えてきます。
「構文」「語彙」「読み方」——この3つ、それぞれ別のアプローチが必要だということです。
構文編:よく出てくる”崩し方”のクセを知っておく
これまで見た通り、英検1級の構文が難しいのは、真新しい文法が出てくるからではありません。知っている文法が、間に別の要素を挟まれたり、後ろにずらされたりして”崩されているからです。
たとえば、こんな感じです。
・文の途中に、急にコンマで挟まれた説明が入ってくる
・主語と動詞が離れすぎていて、読み終わる頃には「あれ、主語何だっけ」となる
・「AだけでなくBも」のような対になった表現が、間延びして出てくる
対策は、真新しい文法を覚えることではなく、「あ、これはいつものアレだ」と気づけるパターンを、あらかじめ頭にストックしておくことです。
これはまさに「精読」の役割です。1文を丁寧にSVOC+Mへ分解する作業を繰り返すことで、こうした”崩し方”のクセが自然と体に染み込んでいきます。
精読の土台となる考え方は、こちらで詳しく解説しています。
▶︎精読の壁って何?|英語力が頭打ちになる理由と突破法
語彙編:単語帳だけで完成させようとしない
英検1級で出てくる難しい単語の半分は、記事全体を通して一度しか登場しません。つまり「頻出1級単語リスト」を完璧に覚えても、それだけではカバーしきれない広がりがあります。
ここは正直、割り切りが必要なところ。
単語帳は「完成させるゴール」じゃなくて「単語との最初の出会いの場」くらいに考えておく方が現実的です。知らない単語に出くわすたびに、その都度向き合っていく。そういう体力をつけておく方が、結局は近道です。
このあたりの語彙との向き合い方は、以前まとめました。
▶︎英検1級 語彙問題はもう怖くない|”ゼロイチ勝負”を得点源に変える攻略法
読み方編:最後まで読んでから、頭の中を整理し直すクセをつける
そして一番の本丸が、戻り読み率90.3%が示す事実です。
英検1級の英文は、前から順番に読んでいくだけでは、意味が確定しないことがほとんど。
関係代名詞や共通の主語が出てきた時点で、「これ、まだ何を指してるかわからないな」という要素を、いったん頭の片隅に置いたまま先を読み進める必要があります。
このクセがないと、毎回文の最後まで読んでから最初に戻って読み直すことになり、時間がいくらあっても足りません。
このクセを鍛えるには、「まだ確定していない部分がある」と自覚しながら読む練習を、意識的に繰り返すのが効果的です。読みながら「これ、まだ答えが出てないぞ」と自分に問いかける感覚に近いですね。
では、インフォグラフィックにまとめておきます。


戻り読みを減らす具体的な方法は、こちらにまとめています。
▶︎英語の戻り読みを減らす方法|英検1級ホルダーが原因を3つに分けて例文解説
まとめ


さあ、タイトル回収です。「英検1級はなぜ難しい?」
| 層 | 正体 | 例 |
|---|---|---|
| 構文 | 未知の文法ではなく、知ってる型が”崩される”こと | “not only〜”の間に、いきなりwho〜が挟まる |
| 語彙 | 頻出リストでは拾いきれない、単語の広がり | claim、uprising……一期一会の単語ばかり |
| 読み方 | 10文中9文で発生する、戻って組み直す必要性 | 主語のあと修飾が重なり、動詞にたどり着く頃には主語を忘れる |
これまで長々と書いてきましたが、一言で言うと:
高難易度の単語を使った長い文が、複雑な構文を伴っているから。
という身も蓋も無い結論に落ち着きました(笑)。
しかも厄介なことに、その複雑な構文は一読しただけでは組み上がらず、10文中9文は前に戻って読み直す羽目になる。英検1級の文章が難しいのはあたりまえ。
でもですね。コツコツと単語を覚えて、しっかり精読してゆけば、決して破れない壁ではないんです。
このブログでは、英検1級にチャレンジする方にお役に立てる情報をたくさん詰め込んでいます。
一緒に英語、頑張ってゆきましょう。
Tobey English!









