20年迷ったトビーが気づいた、“精読”だけが持つ英語のブレイクスルー力

壁を拳で突き破るイメージ。英語学習の「精読の壁」を突破する象徴的なビジュアル 精読・構文読解

「TOEIC800点台で停滞中」「英検準1級から先に進めない」──そんなあなたへ。
20年にわたり英語学習に迷走したトビーが、ある日“精読”と出会い、英語力の限界を突破した体験を語ります。


「トビー、20年間“読めてるつもり”でした」

英語学習って、気がついたら“がんばってるのに伸びない”ゾーンに突入してたりしませんか?
トビーはまさにそこに、20年いました。

TOEICの公式問題集を何冊も回し、単語帳も耳にタコができるほど読んで、文法書も何冊も読破。
それなのに──なぜかPart7が最後まで読めない。
意味は“読んだ気”になるのに、設問になると「あれ?どこにそんなこと書いてあった?」状態。

正直、「英語って、記憶をすり抜ける液体だったっけ?」と本気で疑ったこともあります(笑)。

そんなある日、たまたま手に取った一冊の本──
ゾウが表紙に描かれた、ちょっと不思議な名前の参考書が、
トビーの“英語の常識”を根底からひっくり返すことになります。

それが、「精読」との出会いでした。

この記事では、英語学習歴20年のトビーが
なぜ精読にたどり着けなかったのか、
そして精読を通じて何がどう変わったのかを、失敗談たっぷりに語ります。

同じように英語でつまずいている方に、少しでも“突破口”が届けばうれしいです。

精読との出会い|トビー英語迷走クロニクル

「英語、やってるのに伸びない…」20年間の停滞期

トビーは英語が嫌いだったわけじゃありません。むしろ好きな方。
小中学では英会話教室にも通ってたし、社会人になってからもTOEICの教材を山のように買い込みました。
出る1000、金のフレーズ、公式問題集…とにかく片っ端からやってました。

でも、スコアはあるところでピタッと止まったんです
TOEIC800点台後半。そこそこに実力はついてきた。でもその先に進めない。

特に苦しかったのは、TOEICのリーディングパート。
Part5は何とかなる。でもPart6、7に入ると「読んでるのに、頭に残らない」現象が毎回起きる。
焦って速く読もうとすると、文字だけが目の上をすべっていく…という悪夢のループ。

「こんなに勉強してるのに、なんで?」
あの頃は正直、心が折れかけていました。

英語学習には「階層」があるのって知ってました? やっているのに伸びない・・・それって「精読の壁」にぶつかってるかも。
英語学習のピラミッド、登れてますか?|TOEIC900・英検1級に効く“階層突破”の思考法

「読むだけ多読」ではスコアが上がらなかった理由

とにかく英語は量だ!読めば読めるようになる!
──そんな情報を信じて、多読にも手を出しました。

海外ニュースを読んだり、VOAやBBCを毎日開いたり、分厚い歴史書にも挑戦しました。
でも、どれだけ読んでも「頭に残らない」「正確に読めてる自信がない」状態は変わらず。

単語やテーマは何となく理解できる。でも、
設問に「筆者の主張は?」なんて聞かれると、急にフリーズ。
「あれ、そもそも何の話だったっけ?」状態に。

つまり──
雰囲気で読んでいるだけ”だったんですよね。
しかもその雰囲気は、試験本番ではまったく通用しなかった。

このとき、ようやく気づきはじめました。
読み方そのものに問題があるんじゃないか?」と。

英語の多読ってなんだかカッコイイ・・・それって騙されてません?
多読って本当に必要?20年迷走したトビーの“結論”

あの日出会った1冊──“ポレポレ”が人生を変えた瞬間

そんなある日、Amazonで「英文読解」と検索して出てきたのが、
あのゾウの表紙の参考書──『ポレポレ英文読解プロセス50』でした。

正直、最初は完全にネタ買いでした(笑)。
「ポレポレ?」「ゾウ?」「なんか変な本出てきたぞ」と。
でもレビューはやたら高評価。そしてなぜか気になる

届いた本を開いて1文目を読んだ瞬間──衝撃でした。

えっ、英文って、こんなふうに構造で読めるの…?

今まで“なんとなく”で読んでいた英文が、急に骨組みを持って浮かび上がってくる。
主語、動詞、目的語、修飾語──そうか、英語ってこうやって読めばいいんだ!と。

それまで20年間、「単語と文法があれば読める」と信じていた自分。
その信念が、いい意味でガラガラと崩れ落ちた瞬間でした。

この時「精読」なんて概念、知る由もなかったですから(笑)

そして、トビーの“精読再構築生活”がここから始まることになります──

精読がくれた3つのブレイクスルー

「リーディング時間が余った日」初めての快挙

TOEIC公式問題7、あのリーディングパートで──
なんと、数分の「見直し時間」が残ったんです

これ、衝撃でした。
というのも、それまでの自分にとって「リーディングが時間内に終わる」なんて、ほぼ都市伝説。
時間が足りなくなるのが当たり前で、トリプルパッセージに辿り着く前にタイムアウト。

でも精読を徹底してからは、読むスピードが自然と上がっていったんです。

ポイントは、「速く読もうとした」わけではないということ。
むしろ、精読の練習中はとんでもない時間をかけてSVOCは・・・とやってました。
でもその地味な積み重ねが、頭の中で英文構造を“見える化”する力を育ててくれたんですね。

これは認知心理学の研究でも裏付けられています。

「読解力の高い学習者ほど、視点移動が少なく、文構造の理解が速い」(Rayner,1998)

つまり、精読を通じて構文処理能力が上がると、読み返しが減り、結果的に読む速度も上がるということですね。

精読は、読むスピードを“意識的に”上げる訓練ではなく、
読む“精度”を上げた結果として、速度もついてくる──
まさに、目からウロコのブレイクスルーでした。

「英検1級の長文が苦じゃない?」という異変

英検1級の長文って、TOEICとはまた違う難しさがありますよね。
語彙が難しい、構文が複雑、話題がやたら地球規模(笑)──まさに“読解総合格闘技”。

精読前のトビーなら、間違いなく「うっ…」と一歩引いていたはずです。
でもある日、ふと気づいたんです。

「あれ? 英検の長文って、むしろ読みやすい?」

もちろん語彙の難しさはあります。でも、構文が見えていると、意味を取り違えることがなくなる。
多少わからない単語があっても、文の「骨格」が見えるから、内容の流れを見失わないんです。

このとき感じたのは、「精読って、文章の“道しるべ”を持つ感覚だな」ということ。
単語がわからなくても、方向を見失わずに読める。これはかなりの安心感でした。

ちなみにトビー、独特の世界観があるTOEICワールド、いつ読んでも内容が苦痛です(笑)

精読がリスニングを変えた──音の背後に文構造が見える

意外かもしれませんが、精読を始めて一番驚いたのは、
「リスニングが急に聞こえるようになった」という副作用でした。

リスニング教材の英文スクリプトを精読していたときのこと。
構造を意識して読んだあとに音声を聞いてみると──
「あれ?さっきまで“音の塊”だったものが、文の骨格として聞こえる…!」

これは本当に不思議な感覚でした。
聞こえ方が変わったというより、“意味が浮かぶ”ようになったという方が近い。

これって当たり前と言えば当たり前ですよね。だって、

“読めない構文は聞き取れない” のですから。

第二言語習得研究(L2 acquisition)でもこれが裏付けられていているそうです。

「リスニングの処理精度は、既存の構文知識に強く依存する」(Hulstijn, 2001)

なるほど。
逆にいえば、精読によって“文の型”が脳に刷り込まれていれば、
聞こえた瞬間に意味と構造がリンクしやすくなるわけです。

リーディングのために始めた精読が、
思わぬ形でリスニング力まで底上げしてくれるなんて──
これはもう、英語学習のコスパ最強ジャンルかもしれません(笑)

ちなみに。『「寝ながら聞き流し」でリスニング力アップ』なんて英語教材ありましたが・・・。
効果がどうなるかは、おして知るべしですよね(笑)

「精読すれば英語がすべて解決」は幻想?

精読にも“副作用”はある|読みが遅くなる現象

精読を始めて数週間──
トビーは、リーディングスピードが劇的に落ちました(笑)

1文読むのに3分、5分、10分…。
SVOCの構造を確認して、修飾語(M)を見極めて、関係代名詞のカカリ先を追いかけて……
気がつけば、1ページの英文を読むのに30分かかっていたこともあります。

ちなみに、TOEIC公式問題集の復習、みなさんはどれくらい時間をかけているでしょうか?
トビーの場合、だいたい週末に1模試を解いていました。

土曜日の午前中に模試を解いて約2時間。
1時間の休憩を挟んで、その日の午後は6時間かけて復習。
そして日曜日は丸1日、8時間みっちり復習タイム。

つまり、復習だけで合計14時間以上。(笑)

精読を始めたばかりの頃は、これ以上に時間がかかっていたかもしれません。

というのも、Part1からPart7まで、すべての問題を精読(構文読解)していたからです。
解いた問題に「わからないところが残っている」という状態が許せなかった。
目標は、「他人に解説できるレベル」になること。

「これ、リーディング力強化って言えるのか? むしろ“構文職人”だよな(笑)」
とツッコミたくなるレベルでした。

正直、「ここまで時間をかけるべきものなのか…」と不安になることもありました。

でも、今振り返って思うのはこれです。
あの“読むのが遅い時期”こそが、必要な“リハビリ期間”だった。

今まで“フィーリング”で読んでいたトビーの脳に、
「英文ってこう読むんだよ」と正しいフォームを再教育していたんですよね。

無理に速く読もうとしなくていい。
むしろ、一度ゆっくり読み切れる力を育てることが先
それが、後の“スムーズに読める自分”につながっていたんだと、今なら胸を張って言えます。

「精読好きすぎ」で沼ったトビーの反省録

精読を始めてしばらく──
トビーは、完全に“精読沼”にハマっていました

というのも、やり始めた教材がこちら:

・『英文読解入門 基本はここだ!』
・『ポレポレ英文読解プロセス50』
・『速読英単語(標準編)』
・『速読英単語(上級編)』
・『情報構造で読む英語長文』
・『図解英文読解 講義の実況中継』
・『英文速読のナビゲーター』
・『特訓リーディング 標準編』
・『特訓リーディング上級編』
……はい、ぜんぶSVOCと修飾語を振って読破してました(笑)

「精読で読解力を鍛えるぞ!」と意気込み、気づけば毎日、文法解剖と構造の図解に明け暮れる日々。
それはもう、読みながら手が勝手に分析を始める構文中毒状態。

当時のトビーのはGood Noteというアプリを使って勉強してました。
ひたすらテキストをスキャン→GoodNotes上にSVOCやMを書き込み。
名詞句は〈 〉、節は[ ]、副詞句は( )で囲むなど、完全オリジナルの精読ルールを構築。

半年くらいそんな日々を続けていたある日、ふと我に返りました。

戦線広げすぎ(笑)

当時は「もう何がなんでも精読極めてやる!」って気持ちで突っ走っていましたが、
さすがにこれはオーバードーズ。
教材が多すぎると、どうしても一冊一冊の復習が雑になる。
精読って、じっくりやるからこそ意味があるのに、これじゃ本末転倒だな…と。

今考えれば、『基本はここだ!』と『ポレポレ』をしっかりマスターした後、
TOEIC公式問題集に移って精読していれば、もっと早くにスコア900は超えていたと思います。

でも今思えば、この沼も悪いことばかりじゃなかったんです。
大量の構文に触れたことで、「英文の型」が体に染み込んでいたのも事実。
あとで紹介する“直感読み”につながる大切な遠回りだったと思っています。

『ポレポレ英文読解プロセス50』の例文に対して、トビーが手書きで精読・構文解説を加えたノート
これは『ポレポレ英文読解プロセス50』の一文をもとに、当時トビーが構文分析した手書きノートの一部です。主語・動詞・補語・修飾句を視覚化することで、“読める”感覚が一気に増しました。※本文引用元:『ポレポレ英文読解プロセス50』(西きょうじ著、代々木ライブラリー)

それでも“構造読み”が直感に変わった瞬間

精読にハマりすぎて教材を抱え込み、構文オタクの沼で溺れかけたトビーでしたが──
約半年のブレイクを挟み、ついにTOEIC戦線に復帰しました。

そして、公式問題集7-1で時間内にリーディングパート全問正解した時、それは爽快そのもの。

TOEICの公式問題集を解いていると、これまで「主語は?動詞は?」と立ち止まっていたような文が、
スッと前から自然に読めていったんです。

いちいち構造を考えなくても、英文の流れがそのまま理解できる。
文構造が、もはや“頭で処理する対象”じゃなくて、“感覚で捉えるもの”になっていた。
言い換えるなら、意識していた読み方が、無意識の読解スタイルに変わった瞬間でした。

これが、トビーにとっての最大のブレイクスルーでした

それまでは、速く読もうとすれば理解が浅くなり、
精読すれば時間が足りないというジレンマに悩まされていたのに、
気づけば「速くて正確」が両立できるようになっていたんです。

そして今、ようやく実感しています。

精読って、“ゆっくり読む練習”じゃないんです。
“速く正確に読む力”を育てる、遠回りだけど確実な訓練なんです。

構文を見抜く力は、英語を読むときの“思考の骨格”になる。
それが無意識で働くようになると、読解力そのものが一段階上がるんです。

かつての自分が「精読って本当に意味あるのか?」と悩んでいたのが嘘のよう。
あの頃のトビーに声をかけるなら、迷わずこう言います。

「大丈夫、ちゃんと自然に読める日が来るから」

精読前と後で“何が変わったか”を一言で言うと?

砂丘の頂上に立ち、達成感を味わう人々のシルエット。英語学習の“壁”を越えた象徴的イメージ

「読んでるのに、頭に残らない」
「答えがどこに書いてあったか、もう一度探しに戻る」
「文章の上を目が滑っていく感覚──よくわかります」

かつてのトビーも、まさにその状態でした。

“英語を読んでるつもり”なのに、実際には“目で追ってるだけ”。
そんな状態で公式問題集を何度解いても、文章が頭に入らず、スコアも伸びない。
いわゆる「上滑り読解」の典型パターンです。

「目が滑る読解」の正体については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
「その英文、ほんとに読めてる?|TOEIC Part7で“目が滑る”人が知らない読解の真実」

でも、精読を通じて文構造が見えるようになったことで、状況は一変しました。
読むたびに迷子になっていた英文が、「読める構造物」として捉えられるようになった。
意味が頭に“入ってくる”感覚。それが、トビーにとって最大の変化でした。

もし、あのとき精読と出会っていなかったら──
TOEIC900も、英検1級も、今でも夢のままだったかもしれません。

この体験を一言でまとめるなら、こうなります。

精読は、「上滑りする英文」を「意味のある読解」に変えてくれる。

目が滑る読解から抜け出すには、“量”ではなく、“構造”をつかむこと。
精読はそのための、一番地味で、一番確実な方法です。

読み終わったあとに「で、結局なんだったっけ?」とならない。
読んだ内容がちゃんと残る。理解が、記憶として定着する。

それが、精読の真価だと、今は胸を張って言えます。

精読って、地味でしんどいけど…ちゃんと効きます(笑)
トビーは20年かかりました。あなたはもっと早く突破できるはずです!


このブログを書いた人:トビー

トビー

・TOEIC900・英検1級のトリリンガル(日・英・中)。
・英語学習20年の迷走を経て、「精読の壁」を突破しました。
・今は、英語に悩む方へ、自分の経験から気づきを届けています。

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