拝啓:Google翻訳様。大変です。会社全員の英文メールが、このところ飛躍的に上手になっています。
悔しくて、涙で枕を濡らしています。
——このところ、同僚みんなの英文メールがめっちゃ洗練されている。
TOEIC900点越え&英検1級を取ってから、密かにドヤ顔になっていたトビー。
さらには最近、怪しげな英語ブログまで立ち上げたもんだから、ますますお鼻がピノキオさんに。
ん? ちょっと待ってほしい。
あの人はTOEIC700程度のはず。
それであのネイティブのような英文は……スゴイ。
この現象、セールスの人だけじゃない。エンジニアも同じ。
「こんだけ英語書けたら、もう海外営業部いらないっしょ」レベル。
で、エンジニアの一人に聞いてみました。
トビー:「○○さん、英語すごくないですか? どこかで勉強してました?」
○○さん:「あー、あれね。全部Google翻訳。」
トビー:「……」
うん、ぐうの音も出ません。
つい先日まで、
「〜へ行くつもり」は「be going to go to 〜」だと思っていた、
いちおう英検1級ホルダー、トビー。
(多分、来る。公益財団法人 日本英語検定協会から1級返上要請が)
これまでウン十年も苦労して英語を頑張ってきた。
いまでも英文メールには気を使って、かなりの時間を割いている。
でも、エンジニアの人は——
コピペで一瞬(笑)
はい、前置き長くなりすぎました(いつものことですが)。
そんな自分の社内レゾンデートル(存在意義)まで疑ってしまったトビーが送る、
今回のテーマはコレ:
AI翻訳があれば英語はいらない?
この、英語学習者100万人誰もが考える深淵なるテーマ。
独断と偏見で切り込んでいきます!
・AI翻訳が「便利だけど万能じゃない」理由|現場のリアルな失敗談
・英語力がAIを”使いこなす武器”になる理由
・AI時代に「捨てていい学習法」と「絶対に手放してはいけないもの」
・TOEIC915・英検1級ホルダーが2026年も英語を磨き続けるワケ
AI翻訳で「英語不要論」が広がる理由|でも、そこには見落としがある
Google翻訳、DeepL、Claude——
AI翻訳ツールの精度は、この数年で別次元に進化しました。
「英語ができなくても、もう仕事で困らない」
そう感じている人が増えているのは、正直わかります。
でも、トビーの直感はこうです。
どんなにAI翻訳が発達しても、「英語の勉強不要」にはなりえない(きっぱり)。
その理由を、順番に見ていきましょう。
ツールが上手くても、思考は翻訳できない
ある日、同僚がこんな英文メール送ってました。
件名:Re: Quotation Request
We would like to have your best price for the product.
Please send it to us as soon as possible.
文法?完璧。スペル?完璧。
なのに、なぜかモヤっとする。
理由は単純で、読んだ相手が何も感じないメールだから。
「ベストプライスを出せ。早くしろ」
言葉だけを取り出せば、そういう意味になる。
もちろん書いた本人にそんな意図はない。でも、受け取った側には伝わらない。
英文として正しい。でも、ビジネスとしては…落第点。
もしトビーだったら、ちょっと時間がかかっても、こんな感じに書きます。
件名:Re: Quotation Request
Thank you very much for sending your quotation.
I have carefully reviewed it.
The price on the quotation appears to be reasonable. However, given that most Japanese customers are cost-sensitive, would it be possible for you to provide a 20% discount in order to promote your product further to the potential customer?
要点は「安くしてよね」。
同僚のメールと同じです。
でも、相手への共感と理解(見積もりの価格は合理的(reasonable)だ)を示した上で、値段を下げる必要性(理由)を丁寧に添える。
AI翻訳が翻訳するのは、あくまで「言葉」です。
その言葉の裏にある意図・関係性・温度感は、翻訳されません。
「何を伝えたいのか」が日本語の段階でぼんやりしていれば、英語に直しても、ぼんやりしたままです。
思考の解像度は、AIでは上げられない。
これが、AI翻訳の最初の壁です。
AIが訳せない”文脈の壁”を体験した話
さらに厄介なのが、主語の問題です。
日本語は主語を省略する言語です。
「確認しておきます」
「対応します」
「持っていきます」
——って誰が?(笑)
日本語ならば文脈で類推できる。でもAI翻訳はここで迷子になる。
主語のない日本語を入力すると、翻訳エンジンは「とりあえず主語を補完」しようとします。その補完が、しばしば間違います。
「私が対応します(I will handle it.)」のつもりで書いたメールが、
「We will handle it.」と訳されて送信される。
受け取った相手からすれば——
「どのチームが動くの?担当は誰?」という疑問が生まれる。
一見なめらかな英文の裏で、コミュニケーションの食い違いがじわじわ積み重なっていく。
これは、Google翻訳が悪いのではありません。
日本語の曖昧さを英語でそのまま再現しようとすることに、そもそも無理があるのです。

「I」と「We」の違い、これ笑えない実話です。「誰が責任者なの?」って相手に思われた瞬間、案件の雲行きが怪しくなります(笑)
AI翻訳ツールの種類と特徴についてはこちらの記事で詳しくまとめています。
▶︎AI翻訳ツール、どれが最強?|英検1級ホルダーが仕事で使い倒した5本を本音レビュー
AI翻訳を使い倒してわかった限界|光産業20年・現場のリアル
トビーの仕事は、海外メーカーとのやりとりが日常です。
仕様確認、価格交渉、クレーム対応——すべて英語(あと、中国語も)。
そしてAI翻訳も、もちろんフル活用しています。
でも、使えば使うほど見えてくる「ここだけは無理」という壁がある。
光産業20年の現場で実際に経験した、リアルな限界をお伝えします。
専門用語の壁|”正しい英語”が通じない現場
AI翻訳の限界を痛感した話をひとつ。
精密な位置決めをする機器を英語で何と言うか?
「motorized stage」と言う会社もあれば、「motion control stage」と言う会社もある。
光学素子を保持する部品は「hardware」か、それとも「opto-mechanics」か。
同じモノを指しているのに、使う言葉が違う。
しかも、どの用語が通じるかは相手の会社・国・業界によってバラバラです。
AI翻訳は「一般的に正しい言葉」を選びます。
でも、業界で通用する「その会社が使う言葉」までは選べない。
結果どうなるか。
相手に「この人、わかってる?」と思われる。
信頼構築の前に、まず「通訳の壁」が立ちはだかる。
専門用語は、業界経験と人間関係の中でしか正確には身につかない。
AIが苦手な領域の筆頭です。
ニュアンスのズレが信頼を削っていった
専門用語の問題とは別に、もうひとつ厄介なことがあります。
「Google翻訳、使い上手」あるある——です。
英文としては問題ない。読んでいてもおかしくない。
なのに、案件がなぜか前に進まない。
経験上、こういうケースの根本原因はひとつです。
「お客様が何を求めているか」が読めていない。
どんなに丁寧な英文を送っても、相手の課題の核心を外していれば、
メールは「読まれるだけ」で終わります。
やがて返信が遅くなり、問い合わせが止まり、案件がフェードアウト。
AI翻訳は、書いた日本語を英語に変換してくれます。
でも、「そもそも何を書くべきか」は教えてくれません。
ここが、翻訳ツールと英語力の本質的な違いです。
翻訳ツールは「言葉の変換機」。
英語力は「コミュニケーションの設計力」。
この二つは、まったく別物なんです。
ビジネスで通用する英語力がどのレベルか、気になる方はこちらをどうぞ。
▶︎ ビジネスで使える英語はどのレベル?|迷走歴25年のトビーがたどり着いた現実解
それでもトビーが英語を磨き続ける3つの理由|AI時代に「英語力」が武器になる瞬間
AI翻訳がこれだけ進化した2026年。
「もう英語の勉強、やめていいんじゃない?」
——正直、そう思いたい気持ちはわかります(笑)
でも、トビーはいまも英語を磨き続けています。
その理由は3つ。順番に話していきます。
英語力はAIを”使いこなす力”に直結する
AI翻訳は、入力した日本語の品質をそのまま英語に反映します。
つまり——
日本語が曖昧なら、英語も曖昧。
論理が飛躍していれば、英語でも飛躍したまま。
逆に言うと、AIを正確に動かせる人間は、そもそも「何を・どの順番で・どう伝えるか」を自分の頭で設計できる人間です。
機密保持契約書の翻訳をAIに任せたとする。
英文は出てくる。でも、その訳が正しいかどうか判断するのは人間です。
そしてその判断の背景には、優れた英語力が必要になる。
AIにドライブされるのではなく、AIをドライブする。
それが、これからの時代に本当に必要な英語力の姿だとトビーは思っています。

AI翻訳を「使いこなす人」と「使われる人」の差は、実は英語力の差そのものかもしれませんね。道具の精度を見極められるのは、その道具を超えた知識を持つ人だけです。
翻訳できない”リアルタイムの場”は必ずある
もうひとつ、AI翻訳が絶対に届かない場面があります。
それが、リアルタイムなコミュニケーションです。
海外メーカーとのビデオ会議。展示会でのブース商談。
突発的なクレーム対応の電話——
こういう場面では、スマホを取り出してコピペしている時間はありません。
相手の言葉を文脈から瞬時に理解して、自分の言葉で即座に返す。
これはAIには代替できない、人間の仕事です。
そしてもうひとつ大原則があります。
日本語そのものがおかしいと、翻訳にはなりえない。逆もまた然り。
特に、英語話者ではなく、通訳に頼っている方。
そもそも自分の話している日本語が怪しいことに気づいていない人が多い。
・文法がおかしい。
・ロジックが矛盾している。
・結局何を言っているのかわからない(笑)
こういう人の話す言葉、AIだと言葉で置き換えができても、相手に真意が伝わらない。
こういう時、トビーは文脈や背景知識で補って通訳しています。
翻訳とは「言葉の置き換え」ではなく、「意味・意思の伝達」。
この本質は、どれだけAIが進化しても変わらないとトビーは確信しています。
英語は”思考の解像度”そのものを上げてくれる
最後の理由が、トビーにとって一番大切なことです。
母国語でわからないものは、外国語に置き換えられない。
これは原則です。
どんな些細なことでも、自分の思考に深みがなければ、
本当の意味での翻訳にはならない。
英語を学ぶということは、実は自分の思考の解像度を上げる訓練でもあります。
「これを英語でどう言うか」と考えるとき、
人は自分が本当に理解しているかどうかを試されている。
英語は、自分の思考の深さを正直に暴き出す鏡なんです。
20年以上英語と格闘してきたトビーが、
それでも英語を磨き続ける理由——
突き詰めると、それは「より深く考えられる自分になりたい」から、なのかもしれません。
英語力の土台となる精読については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎ “読めてるつもり”が英語を止めてた|20年迷走したトビーが見つけた精読の力
AI時代の英語学習、何を変えて何を変えないか|捨てていいものと、手放してはいけないもの
「AI翻訳があるなら、英語学習そのものを見直すべきでは?」
——その通りだと思います。
でも「見直す」とは「やめる」ことではありません。
やり方を変えることです。
何を捨てて、何を残すか。トビーなりの答えをお伝えします。
捨てていいもの|効率が悪い学習法の整理
正直に言います。
AI時代に入って、優先度が下がった学習があります。
ひとつは、和訳作業への過度なこだわりです。
「この英文を正確な日本語に訳せるか」という訓練は、翻訳家を目指すなら必須です。でも、ビジネスで英語を使う社会人には、優先度は高くない。
新規サプライヤーの英文サイト、眉間に皺を寄せて読みたいですか?
DeepLやClaudeさんが、正確な和訳を一瞬で出してくれる時代です。
和訳の精度を磨く時間を、別のことに使ったほうがいい。
もうひとつは、完璧な英文執筆へのこだわりです。
自分で完璧な英文が書けるようになりたい。
英語学習者だったら、誰でもそう思うもの。
でもビジネスで求められているのは、ある意味「成果」であって、「完璧な英文が書けること」ではありません。
なので、日常の英文メールでは、AIさんに任せてしまうことも結構多い。
その方が、空いた時間でほかのことができて、効率的なんです。
1日に送る10通の英文メールのうち、1つか2つくらいは自分で書いて、AIに添削させた上、送信すればいい。
そうすれば、効率的に業務を行いながら英語も勉強もできる。
AIとのハイブリッド学習。
これが現代の学習法だと思います。
変えてはいけないもの|精読・語彙・文脈読解力
では、何を手放してはいけないか。
答えはシンプルです。
精読力・語彙力・文脈読解力——この3つです。
AIをドライブするにも、リアルタイムで会話するにも、
思考の解像度を上げるにも、すべての土台はここにある。

このブログで繰り返しお伝えしている「英語学習の成長ピラミッド」も、AI時代になったからといって、構造は何も変わっていません。
単語 → 基礎文法 → 精読 → 多読 → 実践アウトプット
この順番で積み上げていく本質は、どれだけツールが進化しても変わらない。
むしろ、AI翻訳が普及すればするほど、
「AIでは補えない読解力と思考力」
を持つ人間の価値は上がるとトビーは思っています。
習得に時間がかかるのは当たり前です。
でも、ここは避けては通れません。
英語学習の成長ピラミッドと精読の重要性については、こちらで詳しく解説しています。
▶︎ TOEIC900・英検1級で伸び悩むあなたへ|“精読の壁”を超える英語学習ピラミッド
まとめ|AIと英語力、最強なのは”両刀遣い”だ

さて、タイトル回収といきましょう。
今回のテーマはこれでした:
AI翻訳があれば英語はいらない?
トビーの答えはこうです。
「いる。むしろ、今こそ必要。」
AI翻訳は、間違いなく最強のビジネスツールです。
トビー自身、毎日使っています。これからも使い続けます。
でも、AI翻訳が翻訳するのは「言葉」だけ。
思考・文脈・ニュアンス・リアルタイムの判断——
これらはすべて、使う人間の英語力に委ねられています。
整理するとこうなります。
| AIが得意なこと | 人間の英語力が必要なこと |
| 言葉の変換 | 言葉の変換何を伝えるかの設計 |
| 文法チェック | 文脈・ニュアンスの調整 |
| 素早い翻訳 | リアルタイムの対話 |
| 定型文の生成 | 専門用語の判断と選択 |
AIをドライブできる人間になるか、
AIにドライブされる人間になるか。
その分かれ目は、英語力そのものにあります。
だからトビーは、2026年も英語を磨き続けます。
AI翻訳という最強の相棒を手に入れたからこそ、
それを使いこなす自分自身の力も、同時に鍛え続ける。
AIと英語力の”両刀遣い”——これが、トビーの出した答えです。
英語力の磨き方のコツは、このブログにたくさんヒントが出ています。
一緒に英語、学んでゆきましょう。
このブログを書いた人:トビー
20年迷走して、ようやく“精読の壁”を超えた人です(笑)
トビーって何者?って思った方は、こちらをどうぞ(笑)
→このブログについて|20年迷走して気づいた“精読”の力とTOEIC900の壁
こちらでも怪しくつぶやいてます:
トビーイングリッシュ!オフィシャルXアカウント
https://x.com/tobey_english


コメント