「/」を入れて満足してました。
でも、TOEICのスコアは1ミリも上がりませんでした(笑)
トビーが学生のころ(ウン十年前?)は、「スラッシュリーディング」なんて聞いたこともありませんでした。
ところが先日、子どもが塾の英語テキストに一生懸命スラッシュを入れているのを見てびっくり。いまや書店には“スラッシュリーディング本”がずらりと並んでいます。
──でも、ちょっと待ってください。
そのスラッシュ、本当に「理解の証」になっていますか?
スラッシュを入れると、一見「読めた気」になります。
けれども、構文(SVOC)が取れていなければ、スラッシュはただの飾り線。
英語が読めるようにならない最大の理由は、“スラッシュで区切ること”そのものではなく、“構造を理解できていないこと”にあるんです。
この記事では、英語学習迷走歴25年のトビーが、スラッシュリーディングの本当のメリットと落とし穴を解説します。
スラッシュを否定するつもりはありません。でも、盲目的に信じるのは危険(トビー経験済み)。まずは“精読の目”を育てることが、TOEIC・英検でスコアを伸ばす最短ルートです。
・スラッシュリーディングの正しい使い方と本来の目的
・なぜ「スラッシュを入れても読めない人」が多いのか
・構文読解(精読)とスラッシュの理想的な関係
・トビー式「構文が見える」スラッシュ練習法
スラッシュリーディングとは?|“読む”ではなく“区切る”技術
「スラッシュリーディング」とは、英文を意味のかたまり(チャンク)ごとにスラッシュ「/」で区切る読み方のことです。
たとえばこんな感じ👇
The boy / who is playing the guitar / is my brother.
こうして区切ることで、文の構造や意味の流れをつかみやすくするのが狙いです。
TOEICのリーディング教材や英検対策本でも、定番の学習法としてよく紹介されていますね。
🧩スラッシュの本来の目的
本来、スラッシュリーディングの目的はとてもシンプルです。
それは「英語を英語の語順で理解する」練習。
英語は基本的に、左から右へ、情報が流れる言語です。
日本語のように最後まで読んでから意味を組み立てる必要はありません。
日本語:主語が最後に出てくる(=後戻り型の言語)
英語:主語から始まり、前から意味が決まる(=順送り型の言語)
この“語順の違い”が、日本人が英語長文でつまずく最大の理由なんです。
スラッシュリーディングは、この「語順の壁」を越えるための補助輪なんですね。
⚙️どうしてスラッシュを入れると読みやすく感じるの?
長い文や修飾語が多い文って、どうしても読みにくいですよね?
だからこそ、意味の切れ目でブロックに分けてあげることで、脳の負担を減らし、理解スピードを上げることができます。
つまりスラッシュを入れることで——
・戻り読みが減る
・意味の流れを視覚的に把握できる
・一文が“見える化”される
こうした効果が生まれるわけです。
でも、ここで大事な注意点。
スラッシュリーディングは「読む力を鍛えるトレーニング」ではなく、
あくまで “構文を見える化するためのツール” にすぎません。
つまり、「スラッシュを入れること=読めるようになる」ではないんです。
構文(SVOCM)の理解がともなっていなければ、どこに線を入れても、正しい意味はつかめません。
次の章では、そんなスラッシュリーディングの「メリット」と「デメリット」を具体的に見ていきましょう。
合わせて読みたい:
英語長文がどうしても読めない!|英検1級・TOEIC900が教えるシンプル読解のコツ
スラッシュリーディングのメリット・デメリット
スラッシュリーディングには、もちろん良い面もあります。
ただし“やり方”を間違えると、むしろ読解力が伸びにくくなることも。
ここでは、トビー自身が試してわかったメリットとデメリットを整理してみます。
スラッシュリーディングのメリット
① 戻り読みが減る
スラッシュを入れて読むと、文の構造が視覚的に整理されるため、「えっと、どこまで読んだっけ?」という戻り読みが激減します。
特に英語が苦手なうちは、一文の長さに圧倒されがち。
スラッシュでブロック化することで、「意味の流れ」を追いやすくなります。
② 意味の切れ目がわかる
スラッシュを入れると、修飾語や節のつながりが一目で見えるようになります。
The book / that I bought yesterday / was really inspiring.
このように区切ると、「that節=bookを説明している」とすぐに理解できる。
つまり、スラッシュは構文理解の“見える化ツール”なんです。
③ 英語を英語のまま理解できる
日本語に訳す前に「英語の語順」で処理する練習になるのも大きなメリット。
いわゆる“返り読み”を減らし、英語脳をつくるトレーニングになります。
心理言語学の研究でも、人間は「文を前から意味単位で処理する」ほうが記憶効率が高いとされています。
スラッシュリーディングは、その“チャンク処理(chunking)”を自然に体験できる方法なんです。
スラッシュリーディングのデメリット
① 構文が取れていないと逆効果
スラッシュを入れる位置を間違えると、文の意味を真逆に理解してしまうことがあります。
たとえば「関係詞」「前置詞句」「副詞句」など、どこにかかるかを理解していない状態で線を入れると、かえって構造がぐちゃぐちゃに。

スラッシュは“理解の結果”であって、“理解の手段”ではない。ここを履き違えると、一気に「スラッシュ依存」になります。
② 「スラッシュを入れた=理解した」と勘違いする
一番多い落とし穴がこれ。
スラッシュを入れた瞬間に、なんとなく読めた気になってしまうんです。
でも、「線を引く作業」と「文を理解すること」は別物。
意味を取れていないのにスラッシュを入れるのは、地図を見ずにハイライトを引いて「旅した気分」になっているようなものです(笑)。
③ クセがつくと“構文読解”が育たない
スラッシュを使うことが目的化すると、いつまで経っても自力で文の構造を見抜けなくなります。
つまり、「スラッシュを入れないと読めない人」になってしまう。
これでは本当の読解力=構文を頭の中で描く力は育ちません。

スラッシュリーディングは、あくまで“構文理解の補助ツール”。
正しく使えば強力な味方ですが、使い方を誤ると「読めたつもり病」を悪化させます。
こんな記事も参考になります:
→“読めてるつもり”が英語を止めてた|20年迷走したトビーが見つけた精読の力
スラッシュリーディングは本当に必要?|肯定派・否定派・トビーの結論
ネットや書店を見ると、スラッシュリーディングの評価は真っ二つ。
「読むスピードが上がった!」という声もあれば、「意味ない」「むしろ邪魔」という批判もあります。
ここでは、両者の意見を整理しつつ、トビー自身が25年かけてたどり着いた“結論”をお話しします。
肯定派の主張|初心者にやさしい“入り口”として有効
スラッシュリーディングを支持する人たちは、主に次のような効果を挙げています。
・英語の語順に慣れやすい
・一文の構造を意識できるようになる
・「読むテンポ」が整って集中しやすい
たしかに、英語が苦手な人ほど「英文が長すぎて途中で迷子になる」もの。
そうした人にとって、スラッシュは“理解の目印”になります。
つまり、「文のリズムをつかむ入口」としての効果は確かにある。
特に初級〜中級者のうちは、「構造を意識して読む」という姿勢を持つだけでも十分価値があります。
否定派の主張|スラッシュに頼ると“構文力”が育たない
一方で、否定派の意見も非常に根強いです。
・スラッシュを入れても内容を理解できない
・文法・構文の理解を怠る原因になる
・スラッシュがないと読めなくなる
実際、トビー自身もこの“スラッシュ依存期”にどっぷりハマっていました(笑)
毎回スラッシュを入れて満足していたけれど、TOEICリーディングは伸びず、BBCニュースも頭に残らない。
なぜなら、文の構造を理解していないままスラッシュを引いていたからです。
スラッシュを入れても、それが正しい位置でなければ、「わかったつもり」になるだけで、理解の精度は上がりません。
トビーの結論|スラッシュは“補助輪”。構文読解が先。
トビーの結論は明快です。
👉 スラッシュリーディングは「やったほうがいい」。
でも、それは 構文が読めるようになった“あと” に限ります。
スラッシュは、自転車で言えば補助輪。
最初は支えてくれるけど、いつかは外さないと前に進めません。
構文(SVOCM)を理解していないうちは、スラッシュを入れても「支え」にならず「足かせ」になります。
逆に、構文がわかるようになった段階で使えば、文の意味を瞬時に整理できる“確認ツール”として効果絶大。
構文読解についてはこちらの記事もどうぞ:
「その英文、ほんとに読めてる?|TOEIC Part7で“目が滑る”人が知らない読解の真実」
トビー式スラッシュリーディング|“構文見える化”トレーニング法
スラッシュリーディングは、「構文が見えるようになってから使う」と真価を発揮します。
では、実際にどうすれば“正しいスラッシュ”を入れられるようになるのか?
ここではトビーが英検1級・TOEIC900を突破するまでに実践した、“構文が見える目”を育てるトレーニング法を紹介します。
ステップ①:まずは精読でSVOCMを分解せよ
スラッシュの前に、まずやるべきは精読(構文読解)。
ここをすっ飛ばしてスラッシュを入れても、意味のある区切りにはなりません。
使う教材は、トビーの鉄板コンビ👇
『基本はここだ!』+『ポレポレ英文読解プロセス50』
まず、1文をじっくり読んで「これはS」「これはV」と文の骨格をラベリングしてみましょう。
ポイント:
・主語と動詞を必ずセットで探す
・前置詞句・関係詞節・副詞句など“修飾語のかたまり”を見抜く
このプロセスができるようになると、「ここで意味が切れるな」という感覚が自然に湧いてきます。これがスラッシュの出発点です。
関連記事:
「基本はここだ!」は本当に効く?|精読の壁を突破する“最初の一冊”の使い倒し術
ポレポレはこう使え!英検1級/TOEIC900が教える最強精読本完全攻略
ステップ②:意味の切れ目にスラッシュを入れる
構文がつかめたら、実際にスラッシュを入れてみましょう。
原則はシンプルです👇
| ルール | 区切る場所の目安 |
| ① 主語+動詞 | 文の最初の基本構造(S+V)のあと |
| ② 前置詞句・関係詞節 | 修飾が始まるところで区切る |
| ③ 等位接続詞(and, but, or) | 文が並列になるとき |
| ④長い主語 | 修飾語を伴う長い主語のあと |
たとえば──
The boy / who is playing the guitar / is my brother.
この1文では、「who節」がboyを説明しているので、
そこを1チャンクとしてまとめて区切るのがポイントです。

スラッシュを入れるところはあくまで目安でOK。大切なのは、その前にしっかり構文読解ができていることです。
ステップ③:声に出して読む(口のスラッシュ)
スラッシュを紙に書くだけで終わらせない。
声に出して読むことが、理解を一気に定着させます。
脳科学的にも、音読は「視覚+聴覚+運動感覚」を同時に使うため、
記憶への定着率が最大3倍になると言われています。
つまり、“頭で読む”より“口で読む”ほうが英語は残る。
スラッシュごとに息を切るように音読すると、
意味のかたまりが体でつかめるようになっていきます。
ステップ④:例文で練習しよう
実際に、スラッシュを入れて“見える化”してみましょう。
例文①
When I was a child / I used to read books / before going to bed.
→ 時間の流れで区切る。「子ども時代」→「習慣」→「行動」
例文②
People / who learn English logically / can read faster / than those / who rely on intuition.
→ 関係詞・比較・修飾語でチャンクを整理。構文の流れが明確に。
慣れてくると、目で見ただけで「ここが1チャンクだな」と直感できるようになります。それが、“構文が見える目”です。
スラッシュを“理解の可視化ツール”として使えば、読解力とスピードの両方が一気に伸びます。
ただし忘れないでください。
スラッシュは目的ではなく、構文理解を確認するための最終チェック。
精読で「文の骨格」をつかんでから、スラッシュで「意味の流れ」を整える。
この順番が、トビー式スラッシュリーディングの核心です。
こちらの記事もあせてどうぞ:
その「速読法」…騙されてない?TOEIC915点を生んだ“精読力”の正体
まとめ|スラッシュは“読む技術”ではなく“理解の確認”

さあ、タイトル回収といきましょう。
今回は——
「スラッシュリーディング信仰にご用心|TOEIC・英検で伸びない人の共通点」
というテーマで、
・スラッシュリーディングとは何かを解説し、
・そのメリットとデメリットを整理し、
・肯定派・否定派の意見を踏まえたうえで、
・トビー式スラッシュリーディングのやり方を紹介してきました。
ぶっちゃけ言います。
トビーは「スラッシュリーディング法」という“学習法そのもの”は存在しないと思っています(きっぱり)。
理由はシンプル。
それ、「速読法」とまったく同じ構造なんです。
精読なくして、速読もスラッシュリーディングも成立しない。
大切なのは「スラッシュを入れる力」ではなく、
「構文を見抜く力」なんです。
長文がなかなか読めない……。
これは全国100万人の英語学習者が抱える共通の悩みだと思います。
でも、巷の情報に流されて「スラッシュリーディング信仰」にハマると、
トビーのように20年も沼ることになります(笑)
同じ道をたどってほしくないからこそ、
このブログでは「精読の力」「構文の目」「理解のプロセス」について、これからも発信していきます。
英語が“読める”ようになる瞬間を、一緒につかみに行きましょう!
このブログを書いた人:トビー
20年迷走して、ようやく“精読の壁”を超えた人です(笑)
トビーって何者?って思った方は、こちらをどうぞ(笑)
→このブログについて|20年迷走して気づいた“精読”の力とTOEIC900の壁



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